高齢者の見守りサービスを紹介 後編

日本社宅サービス, ライフリライアンス, Gugenka(グゲンカ), インフィック, ノバルス

その他|2021年07月22日

  • twitter

各種ボタン操作がしやすいデザインとなっている

 家主や管理会社が高齢者の入居を受け入れることは、空室解消につながる一方で、孤独死や認知症による迷惑行為などのリスクが発生する。こうしたリスクを抑制するさまざまな見守りサービスを紹介していく。

異常の早期発見を助ける見守りシステム

日本社宅サービス、ネット回線不要の人感センサー

 社宅事務代行会社の日本社宅サービス(東京都新宿区)のグループ会社であるスリーS(エス:同)では13年より、人感センサー内蔵のホームセキュリティー端末『Type‐S(タイプエス)』を販売している。21年6月末時点の納実績は1万1000戸以上だ。

 端末をコンセントとつなぎ、通知先のメールアドレスを登録することで利用できる。本体にSIM(シム)カードが内蔵されているため、インターネット環境は不要だ。センサーの有効範囲は5メートル以上。部屋の明るさに関わらず人の動きを検知し、一般的な一人暮らしの居室の広さを十分にカバーする。

 在宅モードでは、居室内で人感センサーが一定時間反応しなかった場合に通知が発生。反応がなくなってからの経過時間を12時間と24時間のどちらかで設定できる。外出モードでは反対に、人感センサーが反応した場合に通知される仕組みだ。モード切替えは手動で行う。非常ボタンも搭載されており、自身や周辺に異変を感じた場合すぐに通知先に知らせることができる。見守り機能としてだけでなく、防犯セキュリティー機能としても役立つ。

 

ライフリライアンス、3つのIoT機器を連携活用

 賃貸住宅向けに入居者が無料で利用できるインターネット設備を提案するライフリライアンス(大阪市)は19年から、『スマートIoTホームセキュリティー』を販売している。見守りサービスに特化したIoT商品で、高齢者だけなく、ペットや幼い子どもの安否確認を行うことができる。

 インターネット環境さえあれば、機器を設置するだけで、利用できる手軽さが特徴である。ハブとなる『ゲートウェイ』、ドアや窓の開閉と温度と照度を認識する『3in1センサー』、動きを感知する『モーションセンサー』がセットになっている。例えば、寝室のドアに『3inセンサー』を設置すると、開閉を感知しスマートフォンに通知する機能を使うことで独居高齢者の安否確認を、離れて暮らす家族が容易できる。他にもオプションで、外出先から家の様子を見ることができる『スマートIPカメラ』、遠隔で電化機器のオン・オフが可能になる『スマートプラグ』も取り扱っている。管理会社が代理店となり入居者に販売することも可能。

 

Gugenka、ドアの開閉を自動検知

 Gugenka(グゲンカ:札幌市)が販売する『貼るだけ!ドアカウンター』は、ドアの開閉によって入居者の安否を確認することができるシステムだ。19年12月に提供を始めてから、不動産会社や賃貸住宅を所有するオーナー向けに120台以上販売している。

 トイレや玄関のドアなど日常的かつ頻繁に開閉するドアに取り付けて使用する。リチウム電池を用いており、約5年交換無しで稼働する。両面テープでの接着が可能なため、大掛かりな工事は不要だ。ドアが開閉したことを感知し、事前に登録したメールアドレスや管理システムに届く仕組み。通知は時間帯ごとに記録され、最後の開閉のタイミングもすぐに分かる。通知方法は2種類あり、開閉のたびに通知する方法と、一定時間動きが無かった際に通知する方法だ。前者の場合は、空室のドアに取り付けることで内見回数を把握でき、不法侵入者がいた場合にすぐ察知する防犯システムとなる。後者は、入居者の見守りサービスとして安否確認のために活用できる。

見守り利用の場合、トイレに設置することが多い

見守り利用の場合、トイレに設置することが多い

 製品には電波を発生する機械が内蔵されているため、インターネット環境などの通信システムとの連携は不要である。機器代が1万6500円から。ランニングコストは毎月990円となる。

 

インフィック、自立を支援するクラウドサービス

 介護施設を運営するインフィック(静岡市)が提供する『LASHIC‐room(ラシクルーム)』は、室内センサーで感知した入居者の安否情報を、クラウド上で離れて暮らす家族や介護事業者、管理会社などが確認できるサービスだ。20年10月から販売し、現在100戸以上の住宅で導入されている。

 コンセントから電源を取り、文庫本サイズなので手軽に設置や移動ができる。居室内の温度や明るさ、入居者の動きを感知して、起床・就寝時間や生活状況などの情報を記録する。各情報はスマートフォンにダウンロードした専用アプリケーションからクラウド上で確認できる。日々の動きをAIが検知し、一か月ごとに入居者の健康上の傾向と対策についてのアドバイスが表示される。

『LASHIC-room』とスマホの管理画面

『LASHIC-room』とスマホの管理画面

 機器の通信にはWi‐Fiの接続が必要だが、インターネット環境がない住宅の場合、本体に挿し込むだけで使用できる通信端末を別料金で提供している。離れた場所にて一人で暮らす高齢の親の安否確認を、手軽に行えるシステムとして活用されることが多い。初期費用が発生しないプランの場合、月額2178円で利用できる。

 同社では見守りサービスの他にも高齢者専門の宅配事業などさまざまな事業に取り組んでいる。各自治体と協力しながら、今後も高齢者の自立をサポートできる環境作りに貢献していく。

 

ノバルス、単三電池型の見守りシステム

 ノバルス(東京都千代田区)は、『MaBeee(マビー)みまもり電池サービス』を2020年4月より一般消費者向けに提供している。

 同サービスは単四電池を『MaBeeeみまもり電池』という専用ケースをはめて単三電池のサイズとして、テレビやエアコンのリモコンなどの家電製品に入れて利用する。家電製品を使用した際の電流を『MaBeeeみまもり電池』が検知し、Bluetoothによって使用状況を知らせる仕組みだ。Bluetoothの受信機となるのは専用アプリケーションをダウンロードしたスマートフォンか、コンセントに取り付けるマッチ箱サイズの通信ゲートウェイとなる。

単三電池サイズの専用ケースに単四電池を入れて使用

単三電池サイズの専用ケースに単四電池を入れて使用

 一契約で入居者を含め6人まで登録することが可能で、登録者に使用状況の通知が届く。登録者同士でアプリ内にグループチャットを作成し、会話をすることもできる。

 3月からは不動産業界向けの展開を開始し、全国の法人への納入が始まっている。導入の際には、通信ゲートウェイや『MaBeeeみまもり電池』が取り付け可能なリモコンやセンサーライトなどの製品もあわせて提供する。管理会社は管理画面上で導入している物件の使用状況を閲覧することができる。

 一般消費者向けの場合の利用料金は、一契約あたり月額1078円である。不動産業界向けには、一括管理機能などを含んだ特別パッケージを用意している。初期費用は専用ケースや機器などの買い取り式とレンタル方式の2種類があり、個別見積りとなる。

 岡部顕宏社長は「管理会社や利用者の利便性を向上させるため、利用可能な製品機器を増やしていく。孤独死保険や事後処理サービスを加えた付帯サービスも展開する予定だ」と今後の抱負を語る。

(7月19日9面に掲載)

関連記事▶【高齢社の見守りサービスを紹介[前編][後編]】


検索

アクセスランキング

  1. 大手不動産会社で入社式

    レオパレス21,大東建託グループ,ハウスメイトパートナーズ,APAMAN(アパマン),常口アトム,武蔵コーポレーション,TAKUTO(タクト),三好不動産

  2. ビューン 大石隆行社長 電子書籍読み放題、13万戸に

    【企業研究vol.246】ビューン

  3. 戸建て賃貸強みに売上33億円【上場インタビュー】

    東日本地所

  4. 不動産業アワード、10社が受賞【クローズアップ】

    国土交通省

  5. 供給増えるZEH ハウスメーカーの最新動向を紹介

    三菱地所レジデンス,ミサワホーム,大和ハウス工業

電子版のコンテンツ

サービス

発行物&メディア

  • 賃貸不動産業界の専門紙&ニュースポータル

  • 不動産所有者の経営に役立つ月刊専門誌

  • 家主と賃貸不動産業界のためのセミナー&展示会

  • 賃貸経営に役立つ商材紹介とライブインタビュー

  • 賃貸管理会社が家主に配る、コミュニケーション月刊紙

  • 賃貸不動産市場を数字で読み解く、データ&解説集

  • RSS
  • twitter

ページトッップ