「プリマガーデン辻堂」は、英国式建築の外観がひときわ目立つ、女性専用単身向けアパートだ。外観だけでなく室内の建具にも輸入建材を用いた。本物感ある見た目に加え、階段下収納、ロフト、全室角部屋といった居住性の高さで竣工前に満室となった。
ロフトや階段下の高い収納力が好評
プリマガーデン辻堂は、駅前再開発により人口が増加している神奈川県藤沢市・辻堂エリアに立つ。最寄り駅のJR東海道本線「辻堂」駅から徒歩8分だ。同物件はGIFT(ギフト:神奈川県横浜市)が企画・設計した賃貸シリーズ。建物のコンセプトは「外壁や建具など見える部分にできるだけ輸入建材を使用し、イギリスの住宅をイメージした」と同社のお客様担当責任者の古川健一氏は話す。
外観はすっきりとした印象を与える左右対称のデザインだ。外壁には豪州製のスライスレンガ、共用玄関ドアはアメリカ製を採用。階段の手すりや照明に至るまで英国風の意匠を損なわない建材を選んでいる。
室内は、見た目のかわいらしさだけでなく、家主の修繕コストを軽減できる工夫を凝らした。例えばリビングの高さ1mほどの腰壁。無垢のパイン材を用いた腰壁のデザイン性はもとより、家具などを設置したときに傷がついても補修しやすいため、退去時の原状回復費用が最小限で済むという。床は木目調フローリングを採用。接着剤不使用のため人体に優しく、破損しても1枚だけ外して交換できる。
田の字型の間取り設計にすることで、全戸角部屋の2面採光を実現。室内の天井高は最大で3.6mあり、明るく開放的で、通気性も良好だ。約6畳あるロフトを寝室として使用すれば、ワンルームだが実質1LDKとして暮らすことができる。「ロフトを寝室として利用するには屋根の断熱が十分でないと厳しい」(古川氏)ため、長期入居を想定し建物には断熱と遮音を施した。室内のサッシは、断熱効果が高いLow-E(ロウ・イー)複層ガラスを採用。
家賃は相場より3000円ほど高い。建物のみの利回りは約10%。入居者は20代前半から30代前半の女性で、近隣で働く会社員や医療従事者らだ。建築中の同物件の画像をインターネットで見た入居希望者から問い合わせがあり、竣工前に満室となった。入居の決め手は、他に類を見ない建物全体のデザインや収納力の高さなど。「賃貸でこんなおしゃれな家に住めるなんて」といった感想も聞かれると管理会社は話す。オーナーの自宅が隣接している点も、内見に同伴した親の安心材料になったようだ。
特筆すべきは、入居者の5割が、辻堂や近隣エリアからの引っ越しだったことだ。より魅力的な住まいがあれば住み替えたいニーズがあり、それを見事に掘り起こした好事例だといえる。
【オーナーの声】
自分が住みたい賃貸
普通のアパートだと古くなれば新築物件に負けてしまうため、差別化を考えた。会社勤めの頃、ヨーロッパに出張することがよくあり、古くなっても味わいが増すヨーロッパの建物に魅力を感じた。そのような建物を建てたかった。近くに住んでいるので、入居者にささやかなお中元としてアイスクリーム券を贈るなどして交流を図っている。
内田英克オーナー(61)
神奈川県藤沢市
【物件データ】
所在地:神奈川県藤沢市
竣工年:2021年3月
住戸数:8戸
構造:木造2階
建て部屋タイプ:1R+ロフト(20.13~21.3㎡)
家賃:7万2000~7万6000円(共益費込み)
(8月2日13面に掲載)
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