住宅の建築などを手がけるクボタ建設(大阪府羽曳野市)は7月、譲渡型賃貸住宅を専門に取り扱うポータルサイト「譲渡型賃貸RTO」を開設した。
第3の取引形態普及狙う
譲渡型賃貸住宅とは、定期借家契約を締結し、契約終了時に物件を入居者に譲渡する形態の賃貸住宅。定期借家契約の期間は物件や地域により異なる。定期借家契約と同時に譲渡予約契約を締結するのが一般的だ。
毎月支払う家賃が住宅購入代金になるため、住宅ローンが組めない人のための住宅購入の選択肢となる。貸主には、主に転勤や離婚で持ち家を手放したい人を想定。買い手がなかなか見つからない場合の値下げの代わりの選択肢として、譲渡型賃貸住宅を提案する。
譲渡型賃貸住宅は通常の賃貸物件より賃料を高く設定できる場合が多く、賃貸仲介事業者にとっては手数料が増える。売買も行う事業者には、住宅ローンが通らなかった顧客への営業が可能になるという利点もある。
不動産会社が同サイトに物件を掲載する際は、会員登録を行う。掲載料は月額3000円(税込み)から。掲載物件数により料金が変わる。譲渡型賃貸住宅の取り扱いをこれから始める不動産会社のために、会員が無料で使うことができるマニュアルを用意している。9月15日時点で会員登録社数は2社。今後は全国の都道府県で1、2社ずつの会員登録を獲得することが目標だ。
同社の住宅建築事業では、住宅ローンを組むことができず、自宅の購入を諦めるケースに遭遇することが近年増えているという。購入と賃貸の間の第3の選択肢として譲渡型賃貸住宅を普及させるため、同サイトの立ち上げに至った。
(2023年10月9日9面に掲載)