人口や賃料の推移チェックやマイソクの帯一括変換も可能
投資用不動産の売買を手がけるGA technologies(ジーエーテクノロジーズ:東京都港区)は、業務効率化ツールをウェブ上で無料公開した。公開は2023年12月12日から。
同社のAI(人工知能)研究開発部門では、これまでAIなどの新技術を用いて、現場の業務効率化に寄与する31のツールを社内向けに開発してきた。そのうち11ツールの機能の一部を外部に公開。同社のツール提供用サイト「TechLab(テックラボ)」上で利用することが可能となっている。
公開したツールの一つである「帯がえ」は、マイソクに掲載する会社情報などの帯情報を一括で変更できる。一般的には、業者間流通サイト「REINS(レインズ)」などからダウンロードしたマイソクの帯を1枚ずつ不動産会社が自社の情報に変更する必要があるが、同ツールを利用すれば最大20枚を一括で自社の帯情報に変換することができる。
「謄本読み取り」は、法務省が提供する「登記情報提供サービス」で取得できる登記簿謄本に埋め込まれたデジタル文字情報を自動で読み取り、物件の所有者や所在地などのデータを抽出する。自社システムへ手入力する時間を削減でき、誤入力も防げる。
そのほかにも、マンション賃料のAI査定ツール「全国賃料推定」や、東京都23区の人口・地価・賃料などを時系列でグラフ化する「市況可視化」、全国14万棟のマンションの築年数や総戸数などの建物情報を検索できる「建物基盤検索」など、実務に沿った内容のツールがそろう。
同社が自社システムの一部を無料で公開する目的は、エンジニアの採用だ。AI研究開発部門AI Strategy Center(ストラテジーセンター)の稲本浩久執行役員CAIO(最高AI責任者)は「当社のAI活用研究は、実務的で不動産の営業活動に寄り添ったもの。最新技術の研究を行うものではないため、採用した人材が入社した後に、本人がやりたいと思っていた研究とのミスマッチが生じてしまっていた。事前にTechLabで開発したツールを体感してもらうことで、入社後の業務イメージを理解しておいてもらうことが可能だ」と話す。
また、社外に公開することで同業他社との協業の可能性も模索する。
1月11日時点の利用者数は900人超。「賃料査定機能は特に改善の余地がある。さらに精度を高めていきたい」(稲本執行役員CAIO)