空き家投資コンサルティングを手がけるベル(東京都中央区)、およびいい空間(東京都港区)は10月19日、同社に対し集団訴訟を起こしている約150人を相手取り、6億3400万円の損害賠償を求め、東京地裁に提訴した。両社のコンサルティングを受けていた不動産投資家と講師が、真っ向から食い違う主張で互いに提訴し合う泥沼の様相だ。
集団訴訟に対抗し損害賠償請求
提訴された147人のうち146人は、両社が提供する空き家投資スキームの受講生だ。受講生らは7月に両社に対し、集団訴訟を起こしている。
これに対し、両社は事実無根であると主張。
集団訴訟や受講生らの記者会見を理由に、投資物件情報サイトが両社の広告掲載を停止。新規受講生が激減し、売上高は90%減。多大な営業損失を被ったとして6億3400万円の損害賠償を求めている。
ベルおよびいい空間は、築古の空き家を安く購入し、最低限のリフォームを施したうえで、地域最安値の賃料で貸し出す、空き家投資ビジネスを展開。投資家に対し、年間の受講料220万円のコンサルを提供していた。テキスト配布やセミナーの開催、「LINE」での個別相談がコンサル内容だった。
7月に両社を提訴した集団訴訟では、詐欺行為に基づく契約に対する損害賠償として、受講生ら約150人が約3億2600万円を請求。「再現性のある投資スキームを提供する」と言いながら、具体的なコンサルを行わないことや、実際には申請していない特許を申請中であるとした点が詐欺行為にあたるとしている。
両社の代理人を務めるさくら共同法律事務所(東京都新宿区)の河合弘之弁護士は、10月19日の記者会見で「訴訟を起こした人のうち98人は物件の購入に至ったことが判明している。20%以上の利回りを得て運営している受講生もおり、利益を得ていながら詐欺行為などと主張するのは大変遺憾」と説明。
一方、受講生側の代理人を務める轟木総合法律事務所(東京都江東区)の轟木博信弁護士は「300人超の受講生のうち半数が何もコンサルを受けていないというのは異常で、両社の主張はまったくの嘘。今後、裁判で明らかにしていく」とコメントした。