不動産コンサルティング事業を手掛けるつばさ資産パートナーズ(大阪市)は、築86年の木造長屋『咲久長屋』をリノベーションし利便性を向上させた。相場家賃よりも約4万円高くした上で施工から2カ月で入居となった。
利便性向上し若年層取り込む
同物件はJR環状線の外側に点在する「大阪長屋」と総称される物件の一つで、3棟の長屋が連なっている。施工済みは3戸中2戸で、入居は2戸とも決まった。同線「寺田町」駅より徒歩13分の場所に位置している。施工前の家賃は4万5000円だったが、施工後には8万5000円と4万円アップ。周辺相場の家賃4万~5万円よりも4万円ほど高い。施工費は2戸で総額1400万円程度。
今回のリノベーションでは、間取り、内装、水回り設備を変更することで、利便性の向上を図っている。具体的には、間取りは4Kだったものを2LDKに変更し、また和室を洋室に変えた。水回りは、トイレ、浴室、キッチン、洗面台などを全て新品に取り換えた。
一方で、あえて手を加えずに残した部分もある。例えば、壁にはクロスなどは使用せず漆喰(しっくい)壁のままにした。長屋らしさを残すことで入居者に愛着を持ってもらうことが狙いだ。
「物件がある大阪市生野区は高齢化が進んでいる。30~40代の若年層を入居ターゲットに設定し、地域活性化を図りエリアそのものの価値を上げていきたい」と岡原隆裕社長は話す。
実際に入居したのは30代前半の夫婦、30代の単身女性だ。単身女性は週末に同物件を訪れてフラワー教室に使用するという。
つばさ資産パートナーズ
大阪市
岡原隆裕社長(49)
(6月28日13面に掲載)
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