空き家や遊休不動産の利活用を手がけるARTH(アース:東京都中央区)は2022年6月、エネルギーと水を100%自給できるオフグリッド住宅「WEAZER(ウェザー)」を開発。同年12月には、同商品を活用した宿泊施設の第1弾「WEAZER西伊豆」をオープンした。
SDGsで地域活性化目指す
オフグリッドとは、電力会社が提供する電力網に頼らずに電力を自給自足できる状態のことだ。WEAZERでは、屋根に太陽光パネルを設置し、大型蓄電池も搭載することで電気を自給する。余剰分は天候が悪い際に活用できるよう、蓄電する仕組みだ。
水に関しては、上水は貯水タンクに貯めた雨水をろ過・滅菌して活用。トイレの排水は特殊なろ過装置により、汚水が排水として流れないように設計してある。
さらに、電気自動車(EV)の充電設備も導入しており、余剰電力で車の充電が可能。発電エネルギーが逼迫(ひっぱく)した際は、EVから電力供給も可能だ。
WEAZER西伊豆の屋根(左)と正面の外観(右)
同商品は幅約6m、奥行き約2・4m、高さ約2・6mの居住用のコンテナサイズだ。工場でほとんどを製造し、現地で組み立てる。基礎工事を除き、現地での設置作業は2日程度で完了する。そのため、イベント時の一時的な需要や、災害時の仮設住宅としての活用も見込む。
同社はWEAZER西伊豆の立地する静岡県沼津市の舟山地区で、さらに2棟のWEAZERの設置を計画している。今後は同地域を、WEAZERを活用した地方創生のモデル地域にしていきたい考えだ。
23年3月までには、西伊豆エリアでSDGsによる町づくり会社を設立する予定だ。
(2023年2月20日号7面に掲載)