「【テック×不動産】未来を描くクロストーク」は、イタンジ代表の永嶋が、業界をリードする皆さんとともに、不動産の未来について考える対談企画です。第9回では、サムティプロパティマネジメント(大阪市)の植田剛志社長に、業界の課題や課題解決に向けた取り組みについて伺いました。
永嶋 本日はよろしくお願いします。植田社長はM&A(合併・買収)を経てサムティグループに加わったと伺いました。
植田 元々は建築や賃貸不動産に携わっていましたが、33歳で独立し、約10年間、賃貸管理会社を経営しました。しかしリーマン・ショックなどの影響もあり、サムティ(同)に会社を譲渡。その後、2022年に社長に就任しました。
永嶋 現場を熟知されているのですね。管理戸数も順調に伸ばされていますが、管理会社としての差別化についてどのようにお考えでしょうか。
イタンジ、永嶋代表
植田 それが非常に難しいのです。多くの管理会社も同じ課題を抱えていると思いますが、私たちの業務は「できて当たり前」と評価されがちです。
マンションの共用部がきれいであるのも、空室期間は短いのも、すべて「当たり前」。それができていなければクレームにつながります。だからこそ、基本を徹底することが最も大切だと考えています。
そのうえで、やはり「人」は大切にしており、当社の従業員が継続的に働ける環境づくりに注力しています。
永嶋 午後6時にはPCが自動でシャットダウンされると聞いたのですが、本当ですか。
植田 本当です。グループ方針を受けて始めた取り組みですが、当初は業務が回らず苦労しました。それでもDX(デジタルトランスフォーメーション)を進め、「何としても実現する」という思いで改善を積み重ねるうちに、限られた時間でも効率的に業務を進められるようになりました。
その中で今、特に実現したいと考えているのが「電話をなくすこと」です。インターネットや「チャットボット」、アプリなどを活用し、電話対応をどれだけ減らせるかに挑戦しています。社員が休日にしっかりと休める環境をつくるためです。
サムティプロパティマネジメント、植田社長
永嶋 もう電話は不要になりつつありますよね。当社の物件確認電話の自動応答システムにおいても、電話の本数は2~3年前をピークに減少しています。
植田 しかし、社内でさえ「土日も電話がつながらないと不安」というような声は残っているんです。それでもやりたいし、やらざるを得ないし、やるべきだと思ってます。
若い世代では電話を避ける傾向があるので、ほかの管理会社も同じ方向に向かうはずです。難しいテーマではありますが、確実に減らしていきたいと思っています。
永嶋 オンライン上の物件情報がより拡充すれば、電話の数も減らしていけるかもしれませんね。当社も『テクノロジーで不動産取引をなめらかにする』というミッションのためにも、電話本数の推移は注視していきたいですね。
今後、管理業務においてもテクノロジーの活用は不可欠になっていくと思いますが、AI(人工知能)の活用についてはどのようにお考えですか。
植田 AIの活用は今後、絶対的なポイントになってくるとは思いますが、賃貸管理業界への影響は限定的かもしれません。共用部にごみが落ちていたとき、実際に現場で清掃をするのは人間ですよね。
指示する側の役割はAIに置き換わるかもしれませんが、人が現場で働く価値はなくなりません。むしろ、より「的確な管理」が可能になると捉えています。
イタンジ
代表取締役社長執行役員CEO
永嶋章弘
筑波大学大学院システム情報工学研究科にて情報工学修士号を取得後、ニフティに入社。2014年、イタンジに入社し複数新規事業を立ち上げ、16年、メルカリにPdMとして転職。18年、イタンジに執行役員として再入社。23年11月、CEOに就任。
(2026年1月26日13面に掲載)





