顔認証プラットフォーム事業を行うDXYZ(ディクシーズ:東京都新宿区)が提供する顔認証プラットフォーム「FreeiD(フリード)」の導入済みの物件が、10月末時点で49棟となった。新築の賃貸や分譲マンションを中心に引き合いが増加しており、導入予定を含めると約120棟となる。
不動産価値の向上にも
FreeiDは、専用アプリで顔情報を登録することで、物理鍵を使わずにエントランスから宅配ボックス、エレベーター、住戸までの解錠を可能にする。オフィスをはじめ保育園、テーマパーク、ゴルフ場など、自宅以外の場所でも、顔情報を読み取る端末を設置すれば、顔情報を連携し、解錠や本人確認などを行うことができる。2024年からは、顔認証を通じた決済サービスの提供を予定している。
導入理由の多くは、入居者の利便性が向上することによる、賃料の上昇や物件の価値向上が見込めるからだ。不動産鑑定を行う日本橋鑑定総合事務所(東京都中央区)の三原一洋社長は「顔認証システムがある物件の賃料を周辺相場と比較すると、平均して3~5%ほど高い賃料で成約しているデータが複数ある。不動産鑑定の観点からも、顔認証が普及していない段階で先行して導入することで、物件の資産価値が向上する傾向にあるといえる」と語る。
直近では、同年1月竣工予定の三菱地所レジデンス(東京都千代田区)が手がける賃貸マンション「ザ・パークハビオ新栄」におけるFreeiDの導入が決まっている。
(2023年11月20日8面に掲載)