「省エネ」と「空き家」に商機か【新春記者座談会】

賃貸経営|2024年01月15日

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 2024年の賃貸業界を全国賃貸住宅新聞の編集部が予測する。23年12月に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法(以下、空家対策特措法)」を踏まえた空き家ビジネスの活性化、24年4月からスタートする新築建築物の省エネ性能表示制度による省エネ賃貸が商機になりそうだ。

建物管理への関心高まる

デスク 24年は、建物管理に力を入れる管理会社がますます増えていくだろう。その背景にあるのは賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(以下、賃貸住宅管理業法)と築古の管理物件の増加だ。21年に施行された賃貸住宅管理業法の中で、「管理会社の業務」として、入居者・オーナーに対する管理と共に、建物の維持保全が明記された。管理会社の建物管理の能力・意識を高めようという動きがみられる。

記者A 公益財団法人日本賃貸住宅管理協会(東京都千代田区)は、23年11月に「賃貸住宅メンテナンス主任者」資格を開始した。教本は、賃貸住宅の建物管理の知識を体系的にまとめている。研修を受けた管理会社から図解、写真も非常に多く現場で役立つ知識だといった声も上がったと聞いた。受験申し込みの受け付け開始後、約1週間で3100人もの申し込みがあったというから、業界内での注目度の高さがうかがえる。

実務研修のために新たに設けた様子画像

穴吹ハウジングサービスの教育施設。メンテナンス主任者の実務研修のために新たに設けた

記者B 23年5月には、全国賃貸住宅修繕共済協同組合(東京都千代田区)が、賃貸住宅のオーナーが大規模修繕に備えることができる「賃貸住宅修繕共済」の販売を開始した。オーナーは共済掛け金を経費として計上できる点と、修繕工事の目的以外で共済金の請求ができない点が大きなポイントだと聞いた。

デスク 管理する物件の築年数が古くなっている会社も多い。適切な建物管理をしていないことによる事故などのリスクに加え、物件の価値が下落する一方では、家賃額にひもづくことが多い管理費や仲介手数料も減少してしまう。大規模修繕工事の受注による収益化に加え、建物の価値を向上させることで、家賃アップやリーシングのしやすさにもつながる。24年も引き続き調査していこう。

環境配慮、ますます推進

記者C 24年は「省エネ」もキーワードの一つだ。23年は、収益不動産のデベロッパーによる投資用マンションの環境配慮型賃貸の竣工が相次いだ一年だった。取材では機関投資家からの反応が良いという声を聞く。

記者D 大手ハウスメーカーはさらに先んじて22年から販売を開始し、23年も順調に環境配慮型賃貸の建築を進めている。投資用ワンルームマンションでは一次エネルギー消費量を20%以上削減したZEH‐M Oriented(ゼッチマンションオリエンテッド)が目立つが、それよりさらに厳しい基準をクリアした物件の開発も進む。大和ハウス工業(大阪市)は、居住時の年間CO2排出量をマイナスにする実証実験を行っている。積水ハウス(同)は住戸単位で一次エネルギー消費量に対して50%以上75%未満の削減などの基準があるZEH Ready(ゼッチレディ)以上の賃貸住宅を提供している。

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