賃貸住宅サービス、買い取り再販で管理解約抑制

賃貸住宅サービス

管理・仲介業|2024年07月01日

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売上の6割占める

 約3000戸を管理する賃貸住宅サービス(徳島県北島町)は買い取り再販を利用し、管理物件の解約防止に力を入れている。

 同社は徳島県北島町を中心に、鳴門市と徳島市で管理を受託する。物件の平均築年数は15年で、オーナーの数は約300人。ほとんどが地主だ。

 14年ごろからは相続の際、管理替えが起きないように買い取り再販に注力している。同社では、相続人に引き継がれる際の管理離れを防止するため、家族ぐるみの付き合いを重視してきた。定期的な食事会や温泉、お祝い事やお見舞いなどを合わせた冠婚葬祭の付き合いを通じて、次代のオーナーとの接点を確保。物件には若い人の感覚を取り入れないと、資産価値が落ちてしまうと説得し、物件の引き継ぎを促している。

 年配のオーナーの場合、和室の洋室変更に理解を示さなかったり、照明も古いデザインのままで良いと考えがちなためだ。そのほか、物件へ導入するインターネットやセキュリティー設備を相続人と取り決めをしたのちにオーナーに報告するなど、徐々に管理を相続人に移行していく。

 結果、累計約100組の親子間での管理の引き継ぎが行われてきた。

 管理物件に設備の故障や、隣人トラブルなどが発生した際、24時間常に対応することで信頼を獲得。こうした対応が、相続人への引き継ぎをスムーズに進めるのに役立っているという。

 その一方で、相続人が都市部に出たまま戻らず、物件の引き継ぎが難しい場合は買い取りを行う。

 オーナーから物件を買い取った後は、リノベーションにより空室を解消。3年ほど自社で運用してリノベ費用を回収した後、同社に管理委託している別のオーナーに管理とセットにし、再販する。

 2カ月に1棟は買い取りを行うことがあり、それに伴い再販の件数も約10年間で蓄積されてきた。現在は売り上げの6~7割を占めるまで成長した。

 同社が自社に管理を委託するオーナーを対象に再販を行うのは、管理解約を抑制するためだ。ポータルサイトに掲載すれば、都市部在住のオーナーからの問い合わせがたくさん来るが、遠方に在住しているのでコミュニケーションがとりづらい。数年満室運営した後に売却され、そこで管理替えが起きると大きな痛手になるからだ。

 渡辺哲夫社長は「今後も、管理戸数を維持しながら買い取り再販を活用し、収益を伸ばしていく計画」とコメントした。

(2024年7月1日2面に掲載)

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