大阪市港区を中心に約1500戸を管理する浜口産業は、3代目となる濱口善胤社長の下で開始した開発事業で売上高を伸ばす。増えた利益は、社員の待遇改善や評価制度整備に投資。人材を確保して、さらなる会社の成長を目指す。
待遇改善・評価制度を整備
年商14億円に拡大 地元で3棟を竣工
浜口産業では新規事業の開発が売り上げを押し上げる。2025年3月期の売上高は14億円で前期比7倍。売上高の9割を占めるのは、同社で土地を取得し賃貸住宅を建築後、オーナーにランドセットで販売する開発事業だ。25年3月期は、商圏である大阪市港区で3棟30戸の賃貸マンションを法人オーナーに引き渡した。
開発は、いずれも地元である大阪市港区周辺で行う。建築は、グループの建築会社である浜口組が手がける。25年3月期の引き渡し物件はいずれも単身者向けだったが、同年10月には14階建て28戸のファミリー向け物件に着工している。

濱口社長は「利回りは単身者向け物件のほうが高くなるが、ファミリー向け物件は商圏で不足している。長期的に賃料を下げず経営することができる物件を造りたいと考え、着工した」と話す。
販売会社と交流 売却ルートを獲得
浜口産業は、もともと賃貸管理・仲介や賃貸住宅の保有を行ってきた。大阪市で1958年から建築を行う浜口組のグループ会社として90年に設立。管理物件は約1500戸、賃貸仲介件数は年間200件ほどだ。3〜4年に1度賃貸住宅の開発を行い、販売はせずにすべて自社で保有。2024年3月期には保有物件は300戸、売上高は2億円だった。
17年の社長就任後、濱口社長はこの事業構成を大きく変えた。大学卒業後に浜口組に入社し、その後浜口産業で勤務した濱口社長。賃貸管理・仲介やオーナー対応などの業務を担当してきた。「業務を行う中で、収益不動産を販売する不動産会社の知り合いが増えた。彼らから収益物件の売買を教えてもらったり、売買を取り扱う不動産会社のネットワークを紹介してもらったりすることで、売却ルートをつくった。これを活用して、自社保有するためだけに行ってきた開発を会社の成長に寄与する事業とすることができるのではないかと考えた」
20年ごろから土地の仕入れや物件の企画を開始。22年には企画した物件が着工し始め、25年3月期に物件が竣工。これを販売して売上高が大幅に増加した形だ。
濱口社長は「当社はグループで建築を、管理や客付けは自社で行う。一気通貫で賃貸経営をサポートする点が、法人オーナーに評価されている。販売した物件の9割は当社が管理を受託しており、管理戸数の増加にもつながっている」と話す。
人材への投資重 視給与2割アップ
濱口社長は開発事業で増えた利益で、主に社員の待遇改善を行っている。利益の増加を見越して、24年からまず新規採用の社員の基本給を2割上げた。25年4月には、既存社員のベースアップも実施。社員ごとに差はあるものの、2割程度基本給を上げた社員もいるという。「長年変わらない売上高・社員数で経営してきたため、なかなか給与を上げることができなかった。ベースアップが既存社員のモチベーション向上につながれば」
評価制度の整備も行った。24年からコンサルティング会社を入れて、等級制度を設けた。等級ごとに満たすべき成績や勤務態度を明示した。これまでは昇給の要件や目安はなく、役員面談で評価が決まっていた。「社員からはたびたび評価基準に関する質問が寄せられていた。開発事業により売上高が増えることで、待遇改善や評価制度などずっと何とかしたいと思っていたことに手を付けられている」
今後も賃貸住宅の開発事業を強化し、売上高を伸ばしていく。継続的に開発を行うため、25年11月に仕入れ担当の社員を新たに2人採用。これまでは濱口社長が1人で担当していた開発事業をチームで行えるようにする。28年には年間10棟の開発と、売上高50億円到達を目指す。
大阪市港区を中心に約1500戸を管理する浜口産業は、3代目となる濱口善胤社長の下で開始した開発事業で売上高を伸ばす。増えた利益は、社員の待遇改善や評価制度整備に投資。人材を確保して、さらなる会社の成長を目指す。
(中村)
(2026年2月2日20面に掲載)




