「おうち探し館!」、38拠点展開
愛知県を中心に不動産、新築、リフォームなどを手掛ける不動産SHOPナカジツ(岡崎市)。同社では売買仲介店舗「おうち探し館!」を起点に多様な住宅の売買を展開している。主力は中古住宅の仲介で2024年4月期の仲介件数は約5000件にもなる。
中古売買が6割、仲介売上33億円
売買部門は300人
同社は1987年に創業し、愛知県岡崎市を地盤に売買仲介を軸に拡大してきた。特に中古物件の取り引きには早くから着手。中古の売れ行きを良くするために買い客に対してリフォームを提案する専門部署もあるユニークな会社だ。また、近年は新築の分譲や注文住宅建築にも進出し、新たな売り上げの柱に育ってきている。
その結果、2024年4月期の売上高は約362億円。10年前と比べると約9倍にもなる。
売買仲介を担うのは「不動産流通営業部門」。同社の全社員の半数となる約300人が在籍(パート等含む)。うち約200人が営業系スタッフとして活躍している。営業拠点は愛知を中心に、静岡、福岡、熊本、千葉、埼玉に38カ所展開している。
部門統括を担う執行役員の久保田有賛氏は「リフォームや建売住宅、注文住宅の販売や営業をするきっかけは仲介部門。私どもが他部門も支えていくつもりで取り組んでいます」と話す。
同部門の2024年4月期は仲介件数が約5000件(両手取引は2件と換算)。売上は約33億円。前年は約4000件の仲介、約30億円の売上。2025年4月期はさらなる拡大を見込んでいる。
査定サイトに4億
売買件数のうち、売却と購入の比率はほぼ同等だ。扱う物件の構成は、約6割が中古戸建てや中古マンション、約2割が土地、約1割が他社の新築物件。残り約1割が店舗、収益物件。
売却依頼は9割以上を一括査定サイトで獲得。「イエウール」「リビンマッチ」「SUUMO」やその他のサイトに年間約4億円を投資。査定依頼の約1割から媒介を取得し、成約に至るのは約3割だ。成約単価の平均額は約2500万円で、うち仲介手数料は平均約70万円を計上している。
一括査定サイトは複数の業者と媒介獲得の競争になる。そこで差別化になるのがリフォームだと久保田氏は話す。「依頼された物件を早期に売却するためには、汚い建物といったイメージを買主様から払拭することが大切です。私どもはリフォームのショールームもあり、専任のスタッフもいて、不安なことをその場でクリアにしていきます。『こんな不動産屋は他にありませんよ』といったように説明すると、売却を任せていただきやすい」
また、同社では注文住宅も手掛ける。中古物件として買い手が見つかりにくい場合は、解体、土地造成に加え、注文住宅の提案まで行い、早期売却につなげることも。例えば、売主から物件を預かり仲介と解体、造成を請け負い、買主には土地の仲介と注文建築の請け負いが受注できれば、1物件の売買で大きな売り上げを生み出すことができる。
「リフォームや注文住宅、解体・造成など、買いたい人が買いやすいサービスがあるから物件が売れる。だから売却の依頼を受けられる。売りと買いは表裏一体です」(久保田氏)