市営住宅、要件を緩和
広島県福山市は、市営住宅における子育て世帯の入居促進を目指す。入居要件を2025年4月より緩和し、入居申込者の増加を図る。
同市では、三つの項目において子育て世帯の入居要件を緩和する。
一つ目は申し込み資格における収入基準。高齢世帯や子育て世帯などは政令月収21万4000円以下とする。これを4月からは、「小学校就学前の子どもがいる世帯」から「18歳未満の子どもがいる世帯」に要件を変更。申し込み対象が拡大される。
二つ目は抽選倍率の優遇要件。こちらも対象となる子どもの要件が、小学校就学前から18歳未満に変更された。三つ目は子育て世帯専用住戸への申し込み対象。小学6年生以下から18歳未満へ引き上げを行った。
こうした申し込み枠の拡大により、子育て世帯からの入居申し込みが約3割増加することを見込む。
要件緩和とは別に、子育て世帯専用住戸の供給も進める。18年から年間10戸を改修。同市の市営住宅には、築40~60年と古い物件が多い。子育て世帯の生活に合わせた内装や間取りを変更して提供する。子育て世帯専用住戸として選定されるのは、小学校の近くに立地する2~3階の住戸。1階の住戸は高齢者向けに確保するなど、それぞれの入居者に配慮した住戸の募集を行っている。25年1月末時点で67戸中44戸の利用があった。
子育て世帯の入居要件の緩和は、政府による「こども未来戦略」の閣議決定を受け検討された。同市の市営住宅319棟3071戸のうち、24年3月末で25.8%が空室となっていたことから、改めて空室の活用方法を見直したという。
25年度以降、同市では住生活基本計画の見直しを行う。福山市住宅課の山口正記課長は「市民のニーズを分析し、需要に合わせた住戸を提供していきたい」と話す。
(2025年3月3日17面に掲載)