人口減少が進む兵庫県神戸市は、「地域住民が住み続けたい」と思うまちを目指し、不動産価値を高める活動に力を入れる。その一つとして、地域住民の生活利便性を高めるために、JR西日本(大阪市)、モビリティーシェアリングサービスのLuup(ループ:東京都千代田区)と協力した実証実験を、2024年に行った。
よみがえれ、オールドニュータウン
住民に移動手段を提供
JR山陽本線朝霧駅の山側に、開発から60年たつ、かつてのニュータウン「明石舞子団地」がある。神戸市と明石市にまたがる南北3km、東西1kmのエリアに、兵庫県、神戸市、独立行政法人都市再生機構(以下UR:神奈川県横浜市)が運営する賃貸集合住宅や、兵庫県住宅供給公社(神戸市)や民間が開発した分譲住宅など、約1万600戸(2020年)が広がる。この地域で、住民の移動にかかる負担を軽減するために行われた実証実験が「団地まるごと駅マエ化プロジェクト」だ。
対象は、朝霧駅から徒歩8〜12分の場所に立つ神戸市営住宅「シティハイツ狩口」に、新たに入居する若年ファミリー世帯だ(対象期間24年7月〜25年1月まで)。JR山陽本線三ノ宮駅〜明石駅間の記名式ICOCA(イコカ)通勤定期券6カ月分と、電動マイクロモビリティーのシェアリングサービス「LUUP(ループ)」の利用クーポン100回分が渡された。朝霧駅に設置されたポートからLUUPを使えば、シティハイツ狩口までは5分で移動できる。買い物先や病院といった日常の目的地にもポートが設置されたため、徒歩やバスに加え、シェアモビリティーでの移動が可能となった。




