クラスコ、内見時にタクシーを活用

クラスコ

管理・仲介業|2023年03月21日

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 賃貸管理や不動産コンサルティングを手がけるクラスコ(石川県金沢市)は、主に繁忙期の人手不足解消のためタクシー会社と提携。タクシーで物件まで顧客を送迎し、顧客が自分で希望の部屋を見ることができるタクシー内見を実施している。同サービスを導入した結果、社員の月平均の残業時間は2013年の56時間から21年には22時間へと61%減少しつつも、賃貸仲介事業の売り上げは2倍となった。

社員の残業時間6割減

 タクシー内見をスタートしたのは17年4月から。現在2社のタクシー会社と提携し、基本的には内見前日までに店舗ごとに店長の裁量で利用の予約を入れる。当日でも電話で確認し、時間が合えば利用可能だ。

 タクシー内見の利用の流れとして、顧客は一度同社の仲介店舗に来店し、賃貸仲介の営業担当者と共に内見する物件を二つに絞る。その後タクシー運転手と共に90分ほどかけて2戸の物件の内見を行う。その際、クラスコの社員は同行せず、顧客だけで内見する。

 タクシー運転手は運転のほか、物件のある地域の情報提供や対象物件の開錠と施錠を行う。一回あたり平均で3000円ほどかかるタクシー料金はクラスコ側で店舗ごとに負担している。

 小村典弘社長は「以前の繁忙期では、他部署の社員に応援を頼んだり、短期でアルバイトを雇ったりしていた。しかし2、3月は積雪があるほか、スタッフが運転に不慣れな場合もあり、安全性に不安を感じた。タクシーに依頼することで安全確保と業務の効率化が図れている」と話す。

 顧客からは「タクシーを手配してもらえることがうれしい」と好評で、内見からの成約率は54%と、社員が内見を実施した際と比べ2%ほど高いという。

 導入前の13年に1店舗あたりの賃貸仲介件数は平均で85件だったところ、21年には174件と倍増した。「特に繁忙期は遠方から来る顧客が多く、中でも日曜の午後に来店と内見が集中する。近隣地域のタクシーの需要は高くない時間帯だったため、うまく連携できていると思う」(小村社長)

 今後のタクシー内見の課題として、内見可能な物件が管理物件中心であることを挙げる。タクシー会社に鍵を預けることに抵抗がある管理会社も存在するためだ。

 小村社長は「今後もタクシー内見を続けていく。さらに内見の効率化を計るために自社管理物件のVR(仮想現実)データ化を推進し、内見前の物件選定の段階で確度の高いクロージングを目指す」とコメントした。

クラスコ 小村典弘社長の写真

クラスコ
石川県金沢市
小村典弘社長(48)

 

(2023年3月20日7面に掲載)

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