実質的な運営者と認定
旅館業の許可を得ずに賃貸住宅で民泊を運営していた男性が摘発された事件で、13日、宿泊客の募集などを行っていたハイブリッドファシリティーズ(東京都港区)が書類送検された。
無許可民泊で代行業者が摘発されたのは今回が初めて。
警視庁は代行サービスであると認識しながらも、実質的な民泊の運営者だったとし、旅館業法違反の疑いがあるとみている。
家主から借り上げた賃貸マンションで旅館業の許可を得ずに民泊を運営していたとして、JASDAQに上場するオフィス用品販売のピクセルカンパニーズ(東京都港区)と子会社ハイブリッドファシリティーズ2社と、役員ら6名が書類送検され、いずれも容疑を認めているという。
5月1~21日までに外国人観光客4組を1泊4000円で宿泊させた旅館業法違反の疑いがもたれている。
警視庁によると、同じ物件で昨年5月から民泊仲介サイトで宿泊客を募集していたとのことで、1年間で約1300人を宿泊させ、計1323万円を売り上げていたようだ。
摘発された物件は台東区竜泉2丁目の賃貸マンションだ。
台東区は国家戦略特区に認定されておらず、旅館業法の許可を得ずに民泊を運営することは禁止されている。
ハイブリッドファシリティーズの代行サービスは、自社が借り上げた物件で民泊運営者を募り、運営時の清掃業者の手配や宿泊者の募集行為などを代行するというもので、今年2月に開始した。
6月にサービスを利用して民泊を運営していた男性が旅館業法違反の疑いで摘発され、現在はサービスの提供を停止している。
容疑をかけられた男性も13日付けで書類送検された。
また、家主とハイブリッドファシリティーズとのサブリース契約も解約されている。
無許可の民泊運営による摘発は今回で3件目。
今年4月には大阪市庄野区で外国籍の男女3名が、賃貸した住居で無許可に民泊を運営していたとして書類送検された。
昨年12月には京都市の賃貸マンションで民泊を運営していたとして東京都の旅行会社の常勤顧問らが書類送検されている。
旅館業適応の線引き見えず
ハイブリットファシリティーズを摘発した今回の基準を、他の代行業者にも適用するのか、警視庁に聞いた所、明確な回答は得られなかった。
今回、警視庁はハイブリッドファシリティーズを「旅館業法に定める経営の許可を受けることなく民泊を営んでいた会社」とし、摘発に踏み切った。
ハイブリッドファシリティーズの担当者は代行サービスについて、「あくまで顧客の民泊を支援するサービス」と答え、同社自身が民泊を運営していたという警視庁の見方を否定している。
今回のケースでは代行サービスを利用した顧客についても書類送検の対象としていた。
そのため、無許可の民泊施設で運営を行った場合、今後は代行業者と居室の借主の双方が旅館業法に抵触することになりそうだ。
民泊の代行サービスを行う会社は急増しており、全国で50社以上ある。
無許可で民泊運営を代行している場合、摘発対象となる可能性が出てきた。
無許可民泊に対する取り締まりが強化される中で、民泊に関連するサービスを行う会社は今後より一層の注意が必要となりそうだ。