人口減少に直面する商圏において、新たな産業を創出することで地域の活性化に挑む企業がある。松本産業(宮城県石巻市)は、設立から55年の歴史を持つ老舗の不動産企業だ。自社保有地による賃料収入を柱としながら、コインランドリー事業や、宮城県内外でのホテル事業などを展開している。「すべては石巻のために」という強い信念を掲げ、地域社会への貢献を軸に据えた同社の多角化戦略に迫る。
コインランドリー、ホテルも展開 「すべては石巻のために」
商社団地を所有・運営 7000坪超に貸家や飲食店
貸家やオフィスビル、飲食店、事務所、倉庫、駐車場が完備された「石巻商社団地・Biz town 石巻」。この7000坪を超える土地の所有者で、管理運営を行うのが、松本産業だ。
1971年9月に設立。当時から地主として土地を保有しており、賃料収入が売り上げの約6割を占めている。石巻商社団地・Biz town 石巻は、もともと農地だった。同社は地主業のほか、ホテル事業、コインランドリー事業、売買仲介・店舗開発事業、賃貸管理事業などを展開。賃貸住宅の管理戸数は約900戸、従業員数は14人だ。
事業の多角化を始めたのはリーマン・ショックの時期だった。保有する不動産のテナントが相次いで撤退したタイミングに、出店申し込みがあったコンビニエンスストアの余剰スペース活用を模索したことがきっかけとなった。2010年ごろから、所有地にコインランドリーを展開。新店舗である6店舗目は、コンビニ跡地を借りて運営している。
「3.11」による津波被害 新規事業開始から1年
新規事業としてコインランドリー事業を開始した約1年後の12001年3月11日、東日本大震災の津波が直撃した。
コインランドリーの機械が水没し破損。リース品だったにもかかわらず「津波は保険対象外」として、リース会社より機械の全額一括返済を求められる苦境に立たされた。松本幸男社長は「メーカーに新しい機械を手配し、リース会社を変更して事業を再開しました。震災後のランドリー特需もあり、ダブルリースは完済し、難局を乗り越えて今に至ります」と振り返った。
現在は、地域密着型の運営方針で、熱心なファンを獲得している。
松本社長は「『バブルママ・バブルパパ』というオリジナルキャラクターが浸透しており、『ランドリーに行く』ではなく、『ママ・パパに行ってくる』と言う利用者も増えてきました」と話す。





