不動産の売買契約時に重要事項説明を非対面で行う、いわゆる「IT重説」の社会実験開始から丸1年が経った。実施結果は年内をめどに開示されるが、参加765社の一社、GA technologies(ジーエーテクノロジーズ:以下GA:東京都港区)の実施数が242件と年間成約件数の約1割に相当することがわかった。いずれも投資用物件。感染症予防や移動負担軽減を理由とする利用が多く、利便性の高さを実感した購入者が多数派だった。一方で使い勝手に関しては一部で課題も見られた。
すべて投資用、「感染予防」「移動軽減」に需要
今回のIT重説実験は、個人を含む売買取引を対象に2019年10月に開始したもの。法人間の売買取引を対象に15年に始めた社会実験では、実施例がほとんどなく十分なサンプルを得られなかった。その意味で今回の実験で一定の成果が出たことは、売買領域のデジタル化を進める上で大きな一歩になる。