【不動産DX】オンラインセッションレポート~RPA編~

ハウスパートナーホールディングス, 日本財託, ディップ

企業|2020年11月19日

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ハウスパートナーホールディングス 千葉県松戸市 石川智哉社長

 全国賃貸住宅新聞社が運営するウェブの展示・イベントサービス『賃貸トレンド』は5日、オープン記念企画としてオンラインイベント『不動産DX祭り』の第1弾を開催した。第1回目の今回は、その中のプログラムで視聴者約200人を集めたRPAのセッションをレポートする。

 オンラインイベント『不動産DX祭り』の第1弾には573人の申し込みがあり、業界の関心の高さがうかがえた。

 同イベントはコロナ禍で社会状況が大きく変わり、不動産会社の業務において非対面化や生産性向上が大きな課題となる中、デジタルシフトに取り組む不動産会社の実践例を伝える企画。賃貸ビジネスのデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めるための情報を広く発信していく。

 5日には、RPAやスマートロック、VR(仮想現実)仲介など管理会社の関心の高いテーマをそろえた。

RPAセッション 社員3.5人分の年7000時間削減

 最初のセッションは「ハウスパートナーと日本財託に聞いてみよう!RPA導入で業務効率化は進んだ?」をテーマに、不動産会社2社へのオンラインインタビューと、RPA提供会社からのサービス紹介を行い、最大で212人が視聴した。

 1社目として登場したのは1万3000件仲介するハウスパートナーホールディングス(千葉県松戸市)の石川智哉社長だ。RPA導入の狙いは、RPAがDXの最初のステップとしては入り込みやすいシステムであることからだ。

 石川社長は「将来のITによる大きな業務変革を目指す上で、社内のDXに対する抵抗感のマインドを変える必要があると考えた」とコメント。

 人間が行う業務をパソコン内部のロボットが代わりにやるというのは、従業員にも理解しやすいことから始めようと思ったのがきっかけだったという。

 すでに18業務で活用し、RPA活用による年間の業務削減時間は社内全体で4000時間という試算が出ている。

 効果が出ている業務の一つは家賃送金の入力だ。毎月約5000件分を、人手を使ってやっていたのをRPAで自動化。入力作業にまつわる『Excel(エクセル)』のフォーマットも工夫し、9人体制で11日間かけていたのを7日間に短縮した。部分的には対応人数を減らす成果も上がった。

 賃貸仲介に関しては、店舗の担当エリアごとに物件の更新情報の確認を人手で逐一行っていたのをRPAで代替。1日2時間かけていた業務を5分に短縮することに成功した。その分、写真の品質を上げたり、撮影する時間に充てられるようになった。ルーティン業務は機械に任せる方針だという。

 費用対効果について石川社長は「RPAに関しては投資額もそこまで大きくなく、費用対効果を細かく見すぎないようにしている。RPAの活用により仕事が楽になった、新しく何かができるようになったという実感値を現場のスタッフが肌で感じる効果が徐々に大きくなっていくことが大事だと捉えている」と話した。

 結果的にRPAと関係ないところで業務改善の話が出るようになり、能動的な改善への意識変化につながっている印象があるという。

 課題に関しては、一部だけではなくより多くのメンバーを巻き込みながら推進していけるかどうかがポイントだという。「周りを巻き込んでいくには経営者、経営陣が深くコミットメントし、一緒に進めていくことが重要」(石川社長)

 2社目は都内を中心に2万3000戸を管理する日本財託(東京都新宿区)経営企画本部システム部の鍋谷嘉仁氏がオンラインインタビューに応じた。契約の事務担当からRPAの専任担当に抜てきされ、業務への取り入れを率先する現場目線から語った。

 RPA導入のきっかけは、管理戸数も増え業務効率化の機運が高まる中、社内で各部門から1人ずつ集まり、部門ごとに業務の棚卸しを行い、どう効率化するかを話し合う「不動産テック研究会」を発足したのが契機だった。

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日本財託 東京都新宿区 鍋谷嘉仁氏

 さまざまなITツールがある中で、RPAは汎用(はんよう)性が高く、インターネットブラウザー、メール、マイクロソフト『Office(オフィス)』など種類が違うソフトを横断して一連の操作をすることが可能である点。なおかつ同社は自社開発の基幹システムを使っているため、基幹システムを基に何か活用しようとすると新しい開発が必要になるが、RPAであれば違うソフトでも人と同じ動きをして連動させることができ、新たな開発をせずシステム間で機能の連動ができるのが決め手になった。

 鍋谷氏は「基幹システムを使わない部署もあるが、さまざまなツールをまたがって使えるので、部署にかかわらず恩恵にあずかれる点もよかった」と話した。

 導入して大きく効果が出ているのは契約関係の書類の出力と申し込みデータの処理だ。

 書類出力に関しては例えば更新契約の場合、契約書や請求書、送付状といったものは出すもののフォーマットが決まっているので、当然契約ごとに情報が異なり物件ごとに書類を出す必要がある。基幹システムから1件ずつ帳票を開いて出力ボタンを押すという作業をRPAに任せるようにした。更新は6人体制で、これまで毎月600件ほど、繁忙期だと倍の1200件近くの件数が発生していた月の業務時間30時間がそのまま削減できた。

 入居申し込みのデータ処理として、仲介会社と共有するサイトの中に申し込み内容を入力しており、その内容を基幹システムに打ち込み直すのにRPAを活用。これまでは営業時間内に人手で1件1件データを転記していたが、夜のうちにRPAが代行するようになったため始業時間から次の作業に移行でき、スピードアップの効果も出ている。

 申し込み内容の転記からチェックまで1件10分ほどかかっていたため、月に50~60時間は削減できたという。「RPAは正確に転記をするので人手の場合に出ていた間違いを確認して修正するという時間の削減効果にもつながっている」(鍋谷氏)

 RPAの費用対効果に関しては、全体で年間7000時間の業務削減ができており、人件費で換算すると、3.5人の業務分が代行できた計算だ。「RPAツールが年間のライセンスで100万円ほどで、社員を雇うことを考えると十分な効果が得られている」と鍋谷氏はコメントした。

 ロボットは50台ほど稼働。これまではある程度社内で使ってもらうことを基本にRPAの台数を増やしてきたが、今後はより効率の高いロボットの運用について目を向けていく予定だ。

 

ロボットと人の差を動画で紹介

ロボットとの差を検証している写真

RPAを提供するディップの中堀祐輔氏は映像や資料とともにRPAの導入パターンを紹介した

 RPAセッションでは、RPAを提供するディップ(東京都港区)AI・RPA事業本部リアルエステート課の中堀祐輔氏が登場。実際の映像で、スタッフとRPAが横並びで同じ業務を行いどれほどの時間の差があるかわかる様子を紹介した。また、管理、仲介業務ごとにどのようなフローで使えるのかを説明。賃貸関連の業務特化型のRPAや、どのような業務で活用すると効率的かについてコンサルティングを行っていることも伝えた。

 

不動産DX祭りとは

 全国賃貸住宅新聞社が運営するウェブ展示場・イベントサービス『賃貸トレンド』のオープン目玉企画であるオンラインイベント。新型コロナウイルスの影響で、オンライン化や非対面化が広がる中、賃貸住宅業界においてDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するために不動産会社の対応策を情報発信する。RPAやスマートロック、VR仲介など、テーマごとに先進的な取り組みを行う管理会社が実際の効果や課題などについて話す場を設ける。

 11月5日の第1弾からスタートし、12日、26日の3日程で開催。

(11月16日10面・11面に掲載)

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