全国賃貸住宅新聞社が運営するウェブの展示・イベントサービス『賃貸トレンド』は5日、オープン記念企画としてオンラインイベント『不動産DX祭り』の第1弾を開催した。第1回目の今回は、その中のプログラムで視聴者約200人を集めたスマートロックのセッションをレポートする。
スマートロックセッション 管理物件9割に導入 鍵の受渡し省略
プログラム3番目のセッション「三菱地所ハウスネット、アサヒグローバルに聞いてみよう スマートロックを導入して変わったこと」も関心が高く、最大聴講者数194人を集めた。
スマートロックは、管理会社がカギの受け渡し業務が効率化されたり、物件の防犯につながったりするといったメリットがある。
ウェビナーでは、実際に導入したアサヒグローバル(三重県四日市市)のグループ企業のゴールドトラスト(愛知県名古屋市)樋口広士専務と、三菱地所ハウスネット(東京都新宿区)経営企画部の大原悠司DX推進室長が登壇。導入した背景やメリットから、起こった反発や課題点などまでを語った。最後に『Ninja Lock(ニンジャロック)』を提供しているライナフ(東京都千代田区)が製品のPRを行った。
アサヒグローバルでは18年ほど前から、新築物件に設置を始め、現在では1800戸の管理物件の約9割に導入している。きっかけは樋口専務の自宅が盗難被害に遭ったことだったという。樋口専務は「防犯について、見直すタイミングだった。ちょうど電子錠の提案があったので、まずは自宅で採用してみた」と話す。実際に使用してみると、鍵を持っていない人でもロック番号を共有することで開閉ができる点にメリットを感じたという。自宅で効果を実証し、管理物件に導入していった。
「最近では、入居者から『鍵の交換はしてもらえましたか?』といった質問が来るようになった。防犯意識が年々高まっている証拠だと思っている」と、樋口専務は需要の高さを語った。
2社目に登壇した三菱地所ハウスネットは、2016年から導入を始めた。同社では、物件管理の業務効率化を狙ってスマートロックを採用した。入居希望者が内覧する際に、時間を指定してスマートフォンで開閉が可能になる『スマート内覧』の機能により、営業担当者が鍵を受け渡しする手間が省けるようになった。徐々に増えつつある1人で内覧をしたいといった入居者の要望にも応えられているという。
また、今後のスマートロックに関する希望としては、賃貸市場への普及率の向上を上げ「スマートロックが付いている賃貸物件が当たり前の世の中になってほしい」と大原室長は期待を膨らませた。
ライナフは杉村空取締役が登壇。先述の2社から要望として上がったスマートロックの価格帯に関して「値段を下げられる期待はできる。賃貸市場全体で普及が増えれば、生産費用の改善が可能だ」と語った。
『不動産DX祭り』は第2弾を12日に実施し、第3弾を11月26日に開催する。
不動産DX祭りとは
全国賃貸住宅新聞社が運営するウェブ展示場・イベントサービス『賃貸トレンド』のオープン目玉企画であるオンラインイベント。新型コロナウイルスの影響で、オンライン化や非対面化が広がる中、賃貸住宅業界においてDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するために不動産会社の対応策を情報発信する。RPAやスマートロック、VR仲介など、テーマごとに先進的な取り組みを行う管理会社が実際の効果や課題などについて話す場を設ける。
11月5日の第1弾からスタートし、12日、26日の3日程で開催。
(11月16日10面・11面に掲載)
関連記事▶【【不動産DX】オンラインセッションレポート[1][2]】