利用広がる賃貸管理システム①

日本情報クリエイト, クザワ富山, ビジュアルリサーチ, ダンゴネット, 3Films(スリーフィルムス), アセットコミュニケーションズ

商品・サービス|2021年06月07日

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 管理物件の稼働状況や家賃入金の管理、オーナーへの報告業務を支援する賃貸管理システム。昨今は従業員の労働環境を改善できることから利用の裾野が広がっている。テレワークに対応できるクラウド型システムの需要も高まってきた。

クラウド版で在宅ワークに対応

生産性落とさず働き方柔軟に

 「午後は娘が幼稚園から帰ってくるため自宅で作業している」。地域密着で賃貸管理を手掛ける管理会社の従業員は、子どもの帰宅時間に合わせて自宅に戻り業務を続ける。紙ベースの業務管理を変えようと、遠隔操作に対応する日本情報クリエイト(宮崎県都城市)の賃貸管理システム『賃貸革命』を導入したことがきっかけだ。修繕履歴の管理がしやすくなり、帳票類作成の効率も上がるなど生産性を向上できたが、何よりも大きい導入効果は従業員の働き方に柔軟性を持たせられたことにある。

 管理戸数が一定の規模に達した際に、それまでの紙や表計算ソフトを基本とした作業に限界を感じて導入されるケースが多かった賃貸管理システム。数年前からは、システム導入により生産性が上がる結果として社員の労働環境の改善に寄与できることから、「働き方の変革を目的にした導入も増えてきた」と日本情報クリエイト・マーケティング部の古田公四郎部長は話す。現在は、コロナ下における在宅ワークへの対応も導入理由に加わり、必ずしも管理戸数の規模によらない需要が生まれている。

 不動産売買仲介や賃貸仲介・管理を手掛けるクザワ富山(富山市)では、利用していた『賃貸革命』をバージョンアップして会計システムに連動させた。これにより、管理システムで入金・送金処理したものを、会計システムに一括で連動できるようになった。オーナーへの送金処理は、会計システムへの入力が最長で3日程度かかっていたが、今回の連動によりこの日数を削減できている。システムを活用した情報管理は社内での共有や引き継ぎがしやすいため、特定の業務を決まった従業員がこなす縦割り型の働き方を変える効果もある。齋藤八郎社長は「さまざまな業務を皆がこなしていけるような体制をつくりたい」と話す。

 別の管理会社では、インストール版の『賃貸革命』からクラウド版に切り替えることで在宅ワークを取り入れた。別ソフトで実施していた修繕関係の管理も『賃貸革命』に一元化し、見積もりの作成から請求・入金・送金までを連動することで大幅な業務効率向上につなげた。電話対応の当番制を取り入れるなどしながら、従業員が自分のペースに合わせて自宅で作業できる環境をつくっている。

 

基本機能が充実 独自設計の需要減

 遠隔操作が可能なクラウド型賃貸管理システムの需要は伸びている。『i-SP(アイエスピー)』を展開するビジュアルリサーチ(東京都港区)は、2年前に『SPCLoud(エスピークラウド)』の提供を開始。累計の販売割合は『i-SP』が8割、『SPCLoud』が2割だが、新規申し込みベースではクラウド版の需要が伸びており、今年度はインストール版と同程度の受注を見込んでいる。『賃貸革命』を提供する日本情報クリエイトでは2012年にクラウド版をリリース。最近では毎月の導入企業の約6割がクラウド版を選択しており、インストール版からの移行案件もある。ダンゴネット(東京都国分寺市)では20年から『賃貸名人』のテレワーク対応プランを提供しており、引き合いは多い。

 セキュリティー上の懸念からデータは自社に置いておきたいと考える管理会社が多かったが、地震や洪水などの自然災害によるデータ消失のリスク回避としてクラウド版を検討する企業が年々増えてきた。インストール版と比べて初期費用が安い商品が多いことや、経済産業省が監督する「IT導入補助金」においてクラウド型システムに対する補助率が高いことなども導入を後押ししていると考えられる。

 導入企業のカスタマイズ需要が減っていることもシステム市場の傾向の一つといえそうだ。独自の業務プロセスを持つ不動産会社が多く、導入時には各社の要望に合わせてカスタマイズを施すことが多かったが、最近は商品のパッケージ機能をそのまま使う会社が増えている。理由の一つは「管理システムの成熟」だ。管理会社が望む運用が、システムの基本機能により十分実現できるケースが増えた。

 もう一つは導入時のコンサルティングサービス。管理システムを最大限に活用してもらうため、各社は商品の納入だけでなく導入後の運用プロセスまで提案する。パッケージ機能で賄うことができないものだけカスタマイズで対応することで、導入コストの削減にもつながっている。

 

3Films、ポータルサイトへの掲載を迅速化

 3Films(スリーフィルムス:東京都港区)が展開するクラウド型の物件情報一括入稿システム『3之助CLOUD(クラウド)』は、インストール版の『不動3之助』と合わせて約800店舗で導入されている。

 ポータルサイトへの物件情報の一括入稿の他、顧客管理や帳票作成・出力、客付可能物件の情報共有なども行える。独自の特許システムを活用した『高速送信』機能は、ポータルサイトの入力フォームに物件情報を高速で書き込み送信する。一括コンバート機能と比べてサイトへの反映時間が早く、対応項目も多いため、充実した情報を掲載でき反響につなげやすい。コンバート非対応のポータルサイトにも活用可能だ。

 月額3万8500円(税込み)で定額利用できる。

『高速送信』機能のイメージ画像

『高速送信』機能のイメージ

 

アセットコミュニケーションズ、不動産管理の雑務を解決

 アセットコミュニケーションズ(東京都中央区)が開発・販売しているクラウド管理アプリ『AssetApps(アセットアップス)』を活用することで、賃貸管理会社は現場の雑務を解消できる。

 財務会計や入出金管理から建物管理、小規模工事の報告管理まで、不動産管理業務に関わる100種の機能を備えている。たとえば、現場で実際に働く委託先清掃会社の従業員とアプリを共有し、清掃の実施の有無や現場で発生した管球交換やごみ置き場の残置物の処理を、リアルタイムで把握し記録することができる。また登録している物件と各情報を紐づけることで、体系的な建物履歴管理も可能だ。

 1ユーザーアカウントで、基本的な建物や会計の管理機能は無償で利用可能。導入コストをかけずに、必要な機能を絞って使用できるのが強みだ。既に他社の管理システムを導入している場合も、足りない機能だけを同アプリで補完する使い方もできる。

 近藤統嗣社長は「機能ごとに導入の取捨選択を行い、課題に合った使い方で業務効率化や営業強化に役立ててほしい」と話す。

 

IT導入補助金
 中小企業・小規模事業者がITツール導入に活用できる補助金。令和2年度第3次補正からは、これまでの通常枠に加え補助率の高い「低感染リスク型ビジネス枠」も追加された。テレワーク環境の構築や業務の非対面化に寄与するクラウド型ツールがこの枠に該当し、申請額の3分の2以内の補助金が適用される。

(6月7日8面に掲載)

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