仲介・管理会社ノート リフォーム編⑥ ~前編~

ハウスネットワーク, ひご・スマイル, 岡不動産

企業|2021年07月13日

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 賃貸管理事業において、入居率の維持向上の手段の一つがリフォーム提案だ。地域における入居者ニーズのトレンドをキャッチし、物件へ反映するまでの取り組みの工夫を管理会社5社に聞いた。

ハウスネットワーク、故障前に設備新調の提案強化

「入居者の不満感を払しょく」

 管理戸数3883戸のハウスネットワーク(京都市)では、故障前にオーナーへ新品の設備の導入提案を強化したことが奏功し、設備故障に関する入居者からのクレーム件数が減少した。

 同社は売上高(非開示)のうち賃貸管理業が65%を占めており、事業の要となっている。なお、賃貸管理の売り上げにはリフォームなどの工事売り上げも含まれている。

 40人の従業員のうち、パート含み工事にかかわるのは8人。工事は分離発注を採用し、内装工事を5社、設備交換を4社に発注している。

 2017年ごろよりオーナーへ老朽化した設備の新調提案を強化した。同社では入居者からの全体のクレームのうち、約半数が設備故障に関するものだったことから、改善の必要を感じたためだ。

 設備は故障してから導入まで1日で新調できるものは少なく、例えば給湯器は、在庫がないときはクレームから実際の交換までに1週間ほどかかる場合もあるという。

 企画管理部の藤原一樹課長は「故障した上、交換までに時間がかかったという記憶は入居者に強い不満感を残してしまうので、その点に改善の余地を感じた」と振り返る。

 退去のタイミングで設備を確認し、耐用年数が1~2年ほど過ぎているときはオーナーへ設備の新調を提案する。

 故障前に新品の設備の導入を進めておくことで、設備に関するクレーム件数が全体の2割にまで減少したという。

 オーナーへの提案時には「自分で使っているときに壊れてお湯が出なくなったりしたら不快だろう」と自分ごとに置き換えてもらう形で提案することで、7割程度のオーナーは理解し、受け入れるという。

 20年の設備交換の工事件数は提案を強化する以前に比べ、400件ほど件数が増えている。

 「クレーム件数が減ったことで提案する時間が取れるようになるなど、好循環につながっている」(藤原課長)と話し、年内に設備の工事件数700件を目指す。

 

ひご・スマイル、高齢家主に紙の資料で内装事例紹介

年間15戸以上の改修実施

 熊本市内を中心に1100戸を管理するひご・スマイル(熊本市)は、リフォーム事例の写真などを、紙の資料やタブレット端末で提示しながら改修提案を行っている。インターネットの使い方に慣れていない高齢の家主が改修後のイメージをしやすい提案手法を採用することで、年間15~20戸のペースでリフォーム工事を受注している。

 売上高(非公開)のうち、賃貸管理が45%で最も割合が高い。次点が賃貸仲介で37%。リフォーム事業が10%と続く。

ひご・スマイル 会社情報まとめ

 従業員12人のうち、主に2人が家主に改修提案を行いながらリフォーム工事に携わる。年間の工事受注件数は889件。工事の内容を考慮した上で業者を選定し、オーナーが工務店と契約を交わす。

 リフォーム工事の提案は、入居期間に関わらず、原状回復工事にかかる費用が膨らむケースを中心に行う。

 竹内大善社長は「原状回復工事で80~100万円の見積もりが出た場合、襖(ふすま)の撤去や、畳をフローリングに交換するなど、工事費用を少し上げて物件の競争力を高めながらも、後のメンテナンスが楽になる150~200万円のリフォームを提案する」と語る。

 同社に管理を任せるオーナーは60~70代と高齢者が多い。インターネットやメールなどが得意ではない人も多いため、A4用紙で4~5ページほどの提案資料を作成。

 訪問時に、イメージが湧きやすいように同社がこれまで施工した写真やリフォーム後のイメージパースの資料を参照にしつつ説明を行うことで、着実に受注につなげてきた。

 「必要以上にお金をかけるのではなく、最低限の設備導入や工事を行いながら、家主の賃貸経営に長く寄り添っていきたい」(竹内社長)

ひご・スマイル 竹内大善社長の写真

ひご・スマイル
熊本市
竹内大善社長(41)

 

 

岡不動産、リノベーションのモデルルーム設置

情報発信で集客に生かす

 720戸を管理する岡不動産(埼玉県加須市)は、物件のバリューアップのためにリノベーションを施したモデルルームをつくり、先行した成功例を示す方法でオーナー提案を行っている。

 同社の売り上げは約1億6000万円。土地・住宅の売買仲介が60%と主軸で、賃貸仲介と賃貸管理がそれぞれ20%を占める。リフォーム関連売り上げは約2000万円。同社の社員は10人で、そのうち管理部の担当者は3人だ。

岡不動産 会社情報まとめ

 年間に原状回復工事30~40件、リフォーム・リノベーション10~15件、設備交換100件、大規模改修は5件ほど受注する。元請けとして、実際の工事は施工会社に依頼している。

 近年オーナーの高齢化が進み、空室対策やバリューアップへの理解が低くなっているのが現実だという。そこで、同社では自社で管理する賃貸アパートの2室を自費でリノベーションし、オーナーへのバリューアップ提案を円滑にできるよう工夫している。

 リノベーションを施した物件は、3DKを1LDKにし、家賃も1万円上げたが入居がすぐに決まった。費用は約2年で回収できたという。

 モデルルームの事例はブログなどでも紹介し、ウェブ集客のための情報発信として生かしている。様々な工夫を行っているものの、バリューアップ提案は特に難しく成果は出にくいという。また、都心部ではあたりまえのエアコンや水回りの設備などが整っていない物件もまだ多いという。

 岡雅英常務は「オーナーへの提案は難しいが、地元の不動産会社として発信力を持ち、バリューアップ提案も使命感を持ってやっている。常にアンテナを張り、保守的な考えを変えてもらえるよう、今後も工夫を凝らしていきたい」と語った。

 同社は、SNSの活用やブログ更新など、市外から来る若年層にも好感を持ってもらえるよう努めている。

(7月12日6面に掲載)

おすすめ記事▶『仲介・管理会社ノート リフォーム編⑤』

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