仲介・管理会社ノート リフォーム編⑦

朝日綜合, 三愛ハウス, 小菅不動産

企業|2021年07月19日

  • twitter

 管理会社にとって、入居率を高める手段にリフォーム提案がある。だが、大規模修繕など高額な工事費を負担するオーナーに対しての提案には工夫が必要だ。大規模修繕の受注によりコロナ下での減少気味の売上高をカバーした事例を含め、全3社に工事提案の取り組みについて聞いた。

朝日綜合、建物診断入口に大規模修繕提案

外装工事件数年間56件増加

 管理戸数約9000戸の朝日綜合(秋田県横手市)は、建物診断(インスペクション)を無料で実施し、その結果を踏まえて大規模改修の工事提案につなげ、外壁工事は1年で56件増加した。

 売上高22億3000万円のうち、リフォーム事業と賃貸管理がともに7億円と31%、次いで建築が2億円で9%を占める。賃貸住宅における工事売り上げは3億852万円。

 全従業員120人のうち、工事に関わる従業員は11人。工事体制は、グループ会社のホームクリニック(同)に内製化し、元請けとしてオーナーから工事を受注する。

 同社は2010年から、無料のインスペクションを開始した。1度にとどまらず継続的に実施し、3カ月に1回全管理物件を回るという。

 インスペクションの導入の効果として大規模修繕の工事件数が伸びている。熊谷剛専務は「屋根の工事を含む外壁工事は20年に311件で19年比56件増加。建物管理で蓄積したデータを基にした長期修繕提案は、オーナーからも納得感を得られやすい」と分析する。

 17年にはインスペクションのアプリを自社開発し、建物管理の専門知識のないパートを含む工事に関わる従業員全6人も、一定のクオリティーを保った物件の点検を可能にした。

 インスペクションアプリでは、スマートフォンで撮影した写真が自動的にデータとして蓄積されるため、帰社後のデータ整理の時間を削減した。また、アプリ内に保存されている前回データを参照。同じ箇所を同角度で撮影することで、定点的な経年劣化の状況を正確にデータ化できることがオーナーへの説得効果に寄与している。

 人口減少に伴い、賃貸住宅の家賃の減収が予想されるとし、「定期的な建物診断で、長期修繕計画を立案していく」(熊谷専務)と話す。今後は、単価1万円程度の小規模な修繕について年間1200件の受注目標を掲げる。

 

三愛ハウス、築古物件を学生受け狙いリノベ

トレンドの入居者ニーズを反映

 管理戸数約1000戸の三愛ハウス(さいたま市)の島村昭敏社長は「とにかく満室になるリノベーション提案を意識している」と語る。売買仲介事業も主力の同社は、投資家系オーナーに対し、築30年以上の物件を満室で売買するためのリノベーション提案を行う。

 同社の売上高は約1億円。そのうち、工事に関わる売り上げは約2000万円。全従業員は12人で、社員4人と、土日に学生アルバイトが8人勤務する。島村社長1人が工事提案を担当し、提案内容について社内全員で意見交換を行う。

三愛ハウス 会社情報まとめ

 特に力を入れるのはリフォーム・リノベーションだ。管理物件の半数が築20年以上のため、3DKを2LDKにするといった間取り変更や、ユニットバスからトイレを独立させたり、屋外洗濯機置き場を室内へ設置するなどだ。

 「入居者の8割が学生のため、内覧に親が同行するケースが多い。水回りの清潔感は特に注目される印象がある」(島村社長)とし、シンクなどの設備に関しては、10年に1回買い替えの提案を行う。サンプルやカタログで写真を見せイメージを共有する。

 今後は、コンセプト型賃貸の提案を行う方針だ。「コロナ下で在宅期間が長くなり、空間が入居者に与える影響が大きくなってきたと感じる」(島村社長)

三愛ハウス 島村昭敏社長の写真

三愛ハウス
さいたま市
島村昭敏社長(78)

 

 

小菅不動産、高単価の改修受注し売上維持

退去減による原状回復工事減少分をカバー

 管理戸数約6000戸の小菅不動産(神奈川県大和市)は、新型コロナウイルスの影響で原状回復工事が減少した分を、大規模修繕などの単価の高い改修工事の受注によりカバー。前期並みの売上高を維持した。

 同社の従業員全82人のうち、リフォームを担当する工事部は、部門の責任者を除いて14人。営業担当は6人で、事務は5人、定年退職者を再雇用したサービススタッフ3人がいる。工事は外部の施工会社に依頼しているが、工事の内容によって委託先を選択する分離発注を採用し、工事の工程管理も行っている。

小菅不動産 会社情報まとめ

 リフォームの前期の受注件数は4480件。売上高は5億3000万円で、ほぼ例年通りで推移した。新型コロナウイルスの影響で、例年は1000件程度ある退去が前期は890件まで落ち込み、原状回復工事の受注が減少した。

 退去に伴う原状回復工事の受注件数は626件で、平均単価は20万円。設備交換工事は1750件、リフォーム・リノベーション工事は320件、大規模修繕は56件だった。大規模修繕とリフォーム・リノベーションの受注件数は32%増加した。

内観写真

大規模なリフォームの提案などに注力した

 大規模修繕は木造・軽量鉄骨のアパートが中心。受注は外壁や屋根の塗装工事が中心で、駐車場の造成工事なども受注した。無料点検を実施し、修繕が必要な箇所を写真で撮影。物件ごとにリスト化してオーナーに提案している。また、オリエントコーポレーション(東京都千代田区)と提携し、リフォームローンを設け、受注につなげた。

 受注が減った原状回復工事では、業務効率化を進めた。コロナ下における3密回避のため退去時の入居者立ち会いをなくし、営業スタッフが立ち会い時間に拘束されずに見積もりまでの作業を行えるようになった。

 

※本紙面において、管理会社とオーナーが工事契約を結ぶ場合は「元請け」、管理会社以外の工事会社とオーナーが工事契約を結ぶ場合は「あっせん」と記載しています。

(7月19日6面に掲載)

おすすめ記事▶『仲介・管理会社ノート リフォーム編⑥ ~後編~』

検索
管理戸数/仲介件数/人気設備/建築 賃貸市場ランキング

アクセスランキング

  1. 火災保険利用の修繕、不正申請で逮捕者

    国民生活センター,保険ヴィレッジ,日本住宅保全協会

  2. 【事故物件】宅建業者の調査義務範囲明確化

    Martial Arts

  3. 既存住宅の付加価値を高める住宅設備特集

    Ai.Connect(アイコネクト), アクセルラボ, LiveSmart(リブスマート), ギガプライズ, 旭化成ホームズ, 森田アルミ工業, 新鋭

  4. エイムズ、築39年の物件で施工中に成約獲得

    エイムズ

  5. 3.11から11年、帰還困難区域で初の賃貸住宅稼働へ

    双葉町, 双葉不動産

全国賃貸住宅新聞社の出版物

  • 土地・建物の資産を最大限に活用するための
    賃貸不動産オーナー向け経営情報誌

  • 展示会の出展先・来場先を探すための
    情報メディア

全国賃貸住宅新聞社のデータベース

  • 賃貸経営の強い味方
    賃貸管理会社を探すならここから検索

  • RSS
  • twitter

ページトッップ