前回は、賃料減額を求められる際に用いられる手段の概観を説明しました。今回は、借主から実際に賃料の減額を求められた場合にどのようなことを考えるべきかを説明します。具体的な事例としては、月額5万円で貸している物件を、当面の間、賃料を半額の月額2万5000円に減額してほしいと借主から要望された場合を想定します。
家賃減額の相談には〝支払い猶予の選択〟で対応 減額分を取り返せないリスクも払しょく
借主の要望は、前回説明した賃料減額請求権の行使といえますが、これについては貸主が減額に応じる義務はありません。なぜなら、新型コロナウイルスの影響により収入が減少したとしても、物件を使用できる状態にある以上、賃料が当然に減額されることにはならない可能性が高いからです。