企業研究vol.109 エンジョイワークス 福田 和則 社長【トップインタビュー】

エンジョイワークス 福田 和則 社長(46)

企業研究|2021年05月27日

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 湘南エリアを中心に、建築、リノベーション、不動産仲介事業から施設運営、そしてクラウドファンディングなどを通じたまちづくり事業までを展開するエンジョイワークス(神奈川県鎌倉市)。同社では空き家や空きアパートを、ファンドを使って地域活性の場としてリノベーションする事業を計画。お金だけでなく共感も集めて運営する参加型まちづくりの可能性について、同社の福田和則社長に聞いた。

まちづくり投資型ファンドの会員一万人

小規模不動産特定共同事業 3年前全国で初めて登録

―御社は2018年5月に全国初の小規模不動産特定共同事業者として注目を集めました。

 当社では、空き家や遊休不動産オーナーと利活用したい人をつなぎ、みんながお金でサポートする、参加型のクラウドファンディング『ハロー! RENOVATION(リノベーション)』を17年2月にスタートしていました。この事業は、用途に困っている不動産を所有している「物件オーナー」、事業を行いたい「プロジェクトリーダー」、思いのある事業に投資したい「投資家」の三者をマッチングして、空き家などを再生していくプラットフォーム。不動産特定共同事業法の一部を改正する法律が施行され、18年5月に全国初の小規模不動産特定共同事業者となったことで、投資型クラウドファンディングサービスを搭載し、まちづくり参加型クラウドファンディング『ハロー! RENOVATION』として同年6月に正式スタートしました。

―小規模不動産特定共同事業は複数の投資家が出資を行い共同事業として不動産を取引・運用し収益を分配する事業の一つですね。原則として投資家1人当たりの出資額が100万円以内で、投資家が行う出資の合計額が1億円以内のものですが、御社では出資額は1口いくらから募集していますか。

 これまで七つのファンドを組成し、出資額は1口5万円から投資家を募り運営しています。ファンドには、蔵を一棟貸しの宿泊施設にしたり、廃工場をシェアアトリエにした事業、古民家を宿泊施設兼地域に開かれた多世代交流拠点にした事業などがあります。『ハロー! RENOVATION』の会員は1万人近くいて、出資者はこれまでで500人ほどになります。私たちはお金と共感を集めるためにプロジェクト開始前のイベントを多く行っています。

イベントの写真

プロジェクト開始前に投資家たちとイベントを行う

―御社のファンドによる古い建物再生の特徴は何ですか。

 一般的な再生では、施主がリフォーム会社を決めた後、デザインから完成まではリフォーム会社が行います。しかし、当社のファンドを利用した再生ではコンセプト策定やデザイン検討、運営方法や施設名称、DIY参加など、事業をつくっていくプロセスそのものに投資家にも参加してもらい「ジブンゴト」として捉え、運営に関わってもらいやすくしています。完成後もⅠR報告を3カ月に1度行い、収支や経営状況を共有します。そのため、これまでの投資家の7割が、「将来、自身が事業を行うための良い経験になっている」と回答。リターンだけでなく経営も共有できる点が大きな特徴です。

お金と共感集めて再生 不動産会社との連携計画

―御社がこれまで再生してきた案件は、オペレーションが必要な施設が多かったですね。今後は、ファンドを利用した空きアパートの再生事業を展開していく予定だと聞きました。

 これまでのファンドでは、宿泊施設やシェアアトリエなどオペレーションを伴うプロジェクトで再生してきました。しかし、普通のアパートやオフィスビルなどをオペレーションが伴わないプロジェクトとして再生することでインパクトが出せると考えています。よりシンプルで、やりやすいモノであれば、手掛ける不動産会社が現れ、当社は他社とのつながりもできます。運営ハードルを下げることで、ファンドのみならず、返却後のオーナーの事業継続負担軽減を目指します。

鎌倉の古民家の写真

鎌倉の古民家を地域のコミュニティー拠点へと再生

―どんなスキームですか。

 例えば、築30年程度、40㎡、6戸の古アパートを「小商いアパート」へ再生するケースでは、マスターリースで7年間定期借家契約をし、参加型イベントの開催を3回ほど行い、2~3カ月間投資家を募集、その後リノベーション工事に3カ月ほど費やして、7年間ファンドで運用。運用中はオーナーに固定資産税プラスアルファの家賃を支払い、7年後にオーナーに返却するという形です。

―ところで、福田社長が不動産会社を始めた理由は何ですか。

 神奈川県三浦郡葉山町に移り住み、人と人のつながりがある街を気に入ったことで、「いい街、いいコミュニティーをつくることを仕事にしたい」と思ったことがきっかけです。外資系金融機関で不動産担保融資や投資用物件や別荘購入のサポートをしており、不動産仲介の事情がだいたい分かっていたことと、不動産仲介は、購入者と物件紹介だけにとどまらない関係性を築くことができると考えたため、不動産会社として起業しました。

―「いい街、いいコミュニティー」が原点ですね。

 不動産会社がお金と共感を集めて地域に循環させていくと、単なる管理手数料だけではなく、波及効果として、仲介料や設計料などを得ることができます。小規模不動産特定共同事業であれば、地場の不動産会社も登録できます。今後、当社ではこの「参加型まちづくりファンド」をツール化して皆で共有していきたいです。

社員と共にブラジリアン柔術

 「ゼロベースで始められることに挑戦したかった」。こう話す福田社長は40歳からブラジリアン柔術を始めた。

 ブラジリアン柔術は「格闘技のチェス」ともいわれており、取り組んでいる間は柔術に集中して頭を空っぽにできるという。コロナ禍前は週2、3回のペースで道場に行き、夜柔術後に会社に戻って仕事をしたこともあったそうだ。

 会社の福利厚生としても取り入れて、社員とその家族は週に1回道場に無料で行ける。社員と一緒に汗を流すことも多い。「上下関係なく組み合っており、チームビルディングにも貢献しうるのではないかと思う」(福田社長)

ブラジリアン柔術をしている福田社長の写真

ブラジリアン柔術が趣味の福田社長

<会社概要>

社名:エンジョイワークス
所在地:神奈川県鎌倉市由比ガ浜1-10-9
設立:2007年11月29日
資本金:1億円
従業員:66人(パート・アルバイト含む)
事業内容:不動産仲介、建築設計、リノベーション、空き家再生、投資型クラウドファンディング、コミュニティーデザイン、宿泊・カフェ・シェアオフィスの運営、イベント企画など

<会社メモ>

2007年、会社設立後、08年、不動産仲介業開始。09年、不動産紹介サイト『ENJOY STYLE(エンジョイスタイル)』本格開設。10年、コーポラティブヴィレッジ事業、12年店舗・事業用施設『STYLE PRODUCE(スタイルプロデュース)』開始。13年、建築設計を始め、独自の新築規格住宅『THE SKELETON HOUSE(ザ・スケルトンハウス)』を開発。

<社長メモ>

福田 和則 社長。1974年、兵庫県生まれ。外資系金融機関勤務を経て、2007年、エンジョイワークスを設立。行政や事業者任せにしない「まちづくりや家づくりのジブンゴト化」による豊かなライフスタイル実現をテーマに不動産および建築分野において事業を展開。17年、空き家・遊休不動産の再生・利活用プラットフォームであるまちづくり参加型クラウドファンディング『ハロー!RENOVATION』を運営開始。

(5月24日11面に掲載)

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