改装後8年経っても入居率90%
2015年03月28日 | リノベーション
廃墟と化した物件が見事よみがえったのは「RENOVAEISHUu(レノバエイシュウ)」だ。
「リノベーションしてから8年ですが、新築並みの料金を維持できています」と話すのは、アーキネット京都(京都府京都市)の黒木幹雄社長。
この物件は築40年超RC造4階建ての事務所ビルだった。
場所は烏丸御池駅から徒歩7分、二条城前駅から徒歩5分と好立地だが、入居率は30%と低下していた。
建物は、老朽化が進み、屋上からは漏水し、外壁はひび割れ、建具は腐蝕して開けることさえできない状態だった。
改装前の外観
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物件の位置がオフィスとしても、住居としても人気のエリアであることから、同社は1階部分には店舗を、低層階はオフィスとして、3・4階部分は賃貸住宅として設計した。
「解体すると、京都市の高さ制限により今の高さが維持できず、収支が合わなくなります。また、新築の半値で工事ができるため、付加価値を与えたリノベーションを行いました。8年前の当時は『リノベーションって何?』と言われる時代だったので新しい価値観を生み出したと思います」(黒木社長。)。
耐震補強やエレベーターの新設、水回りなどの工事を行い、性能的な改善を行った。
無秩序に自転車が止められていたエントランスにはオートロックを設置。
デザイン性の高い重厚感あふれる姿へと様変わりした。
改装後のエントランス
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居室には、イタリア「Effeti(エフェッティ)」社のオーダーメイドキッチンを導入したり、浴室に乾燥機や乾燥床を使用するなど、分譲マンション並みの設備を導入している。
さらにギャラリーやデザインホテルタイプなど、一部屋ずつ異なる特徴付けをし、デザイナーズマンションとして再生した。
その結果、内見客からの申し込みがすぐに入ったという。
黒木社長は「新築のありきたりなものにないテイストが好まれたと思います。当時の入居者はアパレル関係者やデザイナーなどが多かったです」と話す。
入居率は常に90%を超え、入居者が変わっても賃料は下がっていないという。
デザインに凝った居室
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工事費は1億7600万円。
うち建築費が1億500万円だった。
延べ床面積は、1718㎡。
各居室は、1K~1LDKで、35.75㎡~51.15㎡。
賃料は、9万1000円~13万6000円。
敷金は賃料の1カ月、礼金は賃料の2カ月分と高額だが、現在も満室だ。
「古びた建物に埋もれていた価値を見出すことで物件も入居の維持もできていると思います」(黒木社長)。