独自調査を強化
公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会(公取協、東京都千代田区)が、広告表示の違反調査を強化している。
これまでは公取協が外部からの通報を受け、不動産会社を調査していたが、今後は公取協内に設置したポータルサイト広告適正化部会と情報を共有し、主体的に調査を進めていくことが16日分かった。
初回で1物件の違反発覚だとしても、程度によって厳重警告と違約金課徴の措置を講じる。
成約済み物件の場合は、取引に必要な費用を記載していないなど不当表示が付随しているケースが多く、注意や警告で済まないことが多いという。
さらに1月から、表示規約に違反し、厳重戒告および違約金課徴の措置を講じた不動産会社に対し、5社の主要ポータルサイトが広告掲載を1カ月以上禁止する施策が始まった。
主要ポータルサイトへの広告掲載停止は1カ月以上で、期間は各社の判断に委ねられている。
1月は6社が掲載停止を受けた。
うち2社が賃貸住宅で表示規約を違反した。
1社は世田谷区所在で東京都知事免許(3)の会社で、これまで注意や警告を受けたことはない。
違反が発覚したきっかけは2016年7月下旬、公取協に来た匿名通報だ。
自社サイトに掲載している物件が架空という疑いがあり、点検のため抽出した10物件に関する資料を提供するよう求めた。
送ってきたのは1物件のみだったため、残りの9物件は物件が実在しているかにかかわらず取引の対
象となり得ないため、措置を取った。
もう1社は江東区所在で、東京都知事免許(2)の会社で、SUUMO、HOME'S、CHINTAIに掲載していた賃貸住宅5件が違反していた。
「契約済み物件を出し続けている」と書面が届き調査を開始し、4件のおとり広告が発覚。
新規情報公開後に契約済みもしくは貸し止めになり取引できないにもかかわらず、更新を繰り返し、21日~約6カ月の間継続して広告を掲載していた。
加えて保証会社の利用が取引の条件である物件を「保証会社利用可」「保証会社人気加入」などと記載、最寄り駅からの徒歩所要時間を実際よりも2、3分短く表示するなど、取引内容の不当表示をしていた。
九州の公取協でも1件の成約済み物件の掲載で不動産会社を呼び出し警告するなど、調査、指導を強化しているようだ。
主要ポータルサイトへの掲載停止の措置は首都圏のみだが、今後全国に広がる可能性が高い。
特に繁忙期の最中に広告が出せないのは、集客や売り上げに大きな損害を与えかねない。
仲介事業の現場は入稿作業やメンテンスを怠ることなく、確実に行わなければいけない。