居住支援理事兼家主が語る 要配慮者へのあんしん賃貸住宅【賃貸住宅フェア2024 東京セミナーレポート】

管理・仲介業|2024年12月18日

当記事は賃貸住宅フェア2024in東京で講演したセミナーを書き起こしたものです。

20241216_1603.jpg講演者

茨城県取手市
鈴木一也オーナー(42)

 

支援法人、設立120戸を運営中

 近年、居住支援やセーフティーネットといった言葉が不動産業界でも聞くようになった。私は賃貸オーナーであると同時に、住宅確保要配慮者(以下、要配慮者)に向けた居住支援法人を設立して、理事をしている。

 まず前提として、配慮が必要な人とは誰か。高齢者、何らかの障害や病気がある人、もしくは子育て世代。そして、外国の人。こういった人たちに対して行うのが支援事業だ。

 2014年から賃貸業を始め、16年に高齢者に優しいアパートを造るということで、福祉アパート「あんしん荘」の運営を開始した。さらに18年に居住支援を行う一般社団法人LANS(ランズ:茨城県つくば市)を立ち上げ、現在はその理事を務めながら、あんしん荘のアパートを約120戸運営している。

若年層にも支援 勉強会通じ周知

 LANSの事業内容としては、大きく三つ。一つは居住の支援で、これは住まいの提供。

 二つ目に生活の支援。収入や住まいをなくした人に対するもので、高齢者だけではなく若年層も含めて一時的な支援を3カ月行い、必要に応じて1年間の見守りをする。三つ目に、支援者や福祉、行政の人々を呼んでセミナーや勉強会を開くなど、支援のネットワークを構築する啓蒙(けいもう)活動をしている。

 続いて賃貸経営の話をする。私自身は家主業について「快適に安全な部屋を提供する」ことに特化したいと考えており、高齢者や障がい者に対する支援は、家主業とは切り離して考えている。

 われわれが運営しているあんしん荘は、住まいと支援をつなぎ、安心して生活を送れる賃貸アパートとして、三つのコンセプトがある。

あんしん荘として提供している物件

あんしん荘として提供している物件

 一つ目が「断りません」。年齢や介護度、支援区分などの入居条件は設けていない。こういった福祉支援の住宅は、介護施設とみなして問い合わせしてくる人がいるが、あんしん荘はあくまでも賃貸物件。年齢や介護度などの入居基準はないので、まずは話を聞くということを強調している。行政の人は、断らない旨を伝えておくと入居者の話を持ってきてくれるので、周知しておくことも大事だと思う。

 二つ目が「サポートします」。さまざまな理由で部屋を借りるのが難しい人を助ける。外国人については言語の壁などいろいろな事情を抱えていることが多いので、部屋を借りる手続きまで含めてサポートする。身寄りのない人には緊急連絡先になって、手続きの簡素化をしている。

 三つ目は「そろっています」。電子レンジ、冷蔵庫などの家具・家電を備え付けにして、入居日から生活できる環境、緊急時にも対応できる体制をつくった。この三つのコンセプトであんしん荘を運営している。 

(2024年12月16日16面に掲載) 

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