建て売り事業を祖業に不動産賃貸業で事業基盤を築いてきた、第一住建ホールディングス(大阪市)は、グループ創業から51年目を迎えた。近年は管理会社や建設会社のM&A(合併・買収)により事業の多角化を推進。支店を増やし、営業エリアを拡大している。売上高を大きく伸ばし、2022年8月期のグループ売上高は過去最高の46億円を突破した。管理戸数は23年9月1日時点で9420戸となっている。32歳で会社を継いだ2代目・松尾武社長は「これからが第2創業期」と意気込み、さらなる会社成長を目指す。
管理戸数9400戸突破 ストック収入で安定
―管理戸数、売上高ともに成長が続いています。
売上高は22年8月期に46億7000万円でした。19年8月期の21億5000万円と比較すると2倍超になっています。22年度の売り上げ構成比は、37.1%が賃貸事業、28.9%が管理事業と、ストック事業が全体の売り上げの66%を占めています。建設事業が14.1%、その他に賃貸仲介、売買仲介、建て売り事業などが含まれ、19.9%となっています。
―ストック収入が売上高の6割を超えているのですね。
管理物件は23年9月1日時点で9420戸。物件の所在地は大阪エリアで8割ほどです。管理物件のオーナーは法人、個人投資家が約4割ずつで、残りの約2割が地主系です。管理物件の平均入居率は90.7%。管理戸数は前年比1.2倍程度ずつ増加しています。所有物件は賃貸住宅を中心に60件あります。ストック事業の経営基盤を基に、私が社長に就任した12年以降、第2創業期として事業多角化とエリア拡大を進めてきました。
3業種3社を買収 売り上げ1年で倍増
―20年にホールディングス体制に移行しました。
ホールディングス化した理由は経営体制と組織体制の強化です。9月1日時点で、グループ会社は8社あります。賃貸事業、管理事業のほかに、建設事業、仲介事業、家賃債務保証事業などがあり、事業ごとに分社化しています。
―グループの売上高は、19年度から20年度にかけて大きく伸びていますね。
これは、19年に建設事業をスタートしたことが理由です。管理受託のスピードを上げるためには、建設事業がエンジンになると考えました。当社で土地を購入し、建物を建築してから管理とセットで販売するという手法を展開しています。これにより、計画的に管理戸数を増やしていくことができます。建設事業を開始してから、開発棟数は4棟94戸を供給しました。事業成長スピードや、建築免許の自社取得の手間などを考え、大阪市内で建築事業を行っていたGLAM(グラム)建設を買収。今では当社グループ内で第一コンストラクションという社名で建築事業を手がけています。
―そのほかにも企業買収をしたとうかがっています。
これまでに3社をM&Aしました。先ほどのGLAM建設が19年で1社目です。2社目は愛知県名古屋市でメンテナンスを行っていた大成。メンテナンス費用の効率化を狙い、20年に買収に至りました。22年には管理戸数増加のスピードアップを目的に、兵庫県伊丹市で約1000戸を管理していたヒラク管理をグループ化しました。
―エリア拡大はどのように行ってきたのでしょうか。