1万4621戸を管理する山一地所(宮城県仙台市)は、2025年1月に創業50年を迎えた節目に合わせ、本社を建て替えた。各事業部拠点から経営機能まで集約し、部署間連携の強化を図る。「働きに来たくなるオフィス」空間の工夫に迫る。
現場のアイデア具現化 部署間交流生む空間へ
新社屋のポイントは「交流」だ。企画から完成まで約3年の月日をかけて「働きに来たくなるオフィス」の実現を目指したという。渡部洋平社長は「新型コロナウイルス禍で実施した『オンラインミーティング』『出社制限・在宅勤務』により、リアルのコミュニケーションの大切さを経験した。従業員が対面で集まり連携できることを重視していきたい」と話す。充実したコミュニケーションは、生産性の向上につながるという考えだ。
新社屋の外観
1階から5階まで続く階段。階段の踏み板は、フロアごとに青色のグラデーションで分けられている
仙台市泉中央エリアに5拠点あった事務所のうち、賃貸仲介の店舗も含めてすべて本社ビルに集約。本社は、賃貸仲介、管理、売買、建築、人事・総務、経営のすべての事業部が拠点を置く。新社屋完成後、従業員からは「社内での打ち合わせがしやすくなった」という声が上がったという。
1階の商談ブース。半個室、個室タイプを用意した
賃貸仲介店舗の内装。子ども連れにも対応したキッズスペースを完備した。顧客へ提供する飲み物は、無料で利用できる自動販売機を設置。好きな飲み物を選択できるわくわく感を提供しつつ、従業員の配膳業務を削減した
渡部社長の思いを企画の柱に据え、従業員からも新社屋および働き方に対する理想・意見をアンケート調査やワークショップの実施にて吸い上げた。社内で発足した準備委員会が、骨子の立案からプロジェクト推進を一貫して主導。空間プロデュースは、乃村工藝社(東京都港区)が入った。
5階にはセミナー会場を完備
オフィスフロアにも、車椅子対応のトイレを完備する
新社屋は5階建て。部署ごとに階を分けるが、各フロアに空間を遮断する壁はなく、ガラス張り。1階から5階まで階段を通した。各事業部のオフィスには、フリーアドレスに対応したデスクを導入。従業員間の交流促進にもつなげるが、「最大の狙いは、出勤率を考慮したスペースコストに対する意識向上だ。固定席をなくしたことで、荷物を置き去りにできない・しない状態になる。これにより書類を置くだけの空間がなくなる。結果的に、情報管理・漏えい防止の意識が高まることにも期待する」(渡部社長)
2階から4階は、オフィスフロアとした。フリーアドレスに対応したデスクを導入
4階のカフェスペース。飲食や交流用のエリアのほか、ブースや数種類のソファを設置し、サイレントスペースも確保。交流、リラックス、集中といったさまざまな気分・用途に対応できる空間とした
渡部社長が特にこだわったのが、4階に設置したカフェスペース「4th lounge TSUMUGI(フォースラウンジツムギ)」だ。カフェの名前は社内公募で決定。「4th」には、家庭や職場などに続く「第4の場所」という意味と、力と訳すforce(フォース)から「力を蓄える」の思いを込めた。カフェスペースの広さは245.98㎡。従業員のランチや小休憩の場所、社内イベントの会場として利用している。
(2025年8月11日20面に掲載)




