山一地所(宮城県仙台市)は、仙台市の賃貸住宅市場において、管理、仲介、建築、販売、自社所有という幅広い事業を展開する。2023年6月期は、不動産販売や建築事業のけん引により、売上高を84億1100万円と前年比163%に大きく伸ばし、経常利益も5億6700万円として、過去最高の業績となった。管理受託数は23年6月時点で1万3633戸だ。市内の泉区、青葉区、若林区に拠点を置き、22年の賃貸仲介件数は5010件だった。
仙台市の賃貸市場に密着
賃料、管理など固定収入が3割 今期は不動産販売、建築が伸長
同社の強みは家主から任された賃貸住宅の管理業を軸としながら、賃貸住宅市場におけるさまざまな事業を、社内で行う体制を備えていることだ。土地を仕入れ、建物を建て、入居者を募集し、入居者対応、建物管理、原状回復、リフォームを請け負いつつ、時に応じて投資家向けに販売し、あるいは自社で所有しながら賃料収入を得る、といったそれぞれの局面で、収益を上げる仕組みができている。
23年6月期は、不動産販売が18億円、建築請負が24億円と、二つの事業が特に好調で、前年から30億円以上売上高を伸ばした。
「不動産販売事業では大型案件に携わる機会が多かった。建築事業では6億円クラスのRC造マンションを1棟受注し、1億〜3億円クラスのアパート・マンションと合わせると、17棟の建築工事を受注することができた」(渡部洋平社長)
もう一つ、同社の経営を特徴づけているのが、安定した固定収入の大きさだ。渡部社長が注視するのは、賃料・売電収入の項目に含まれる、賃貸収入、サブリース、駐車場、マンスリーマンション、太陽光発電による売電収入と、賃貸管理収入だ。23年6月期はこれら6項目の売り上げが24億5800万円に達し、グループ売り上げの29%を占めるに至った。