セーフティネット住宅 部屋探し側の認知9%

法律・制度改正|2018年11月05日

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1年で目標値の1割強と登録進まず

セーフティネット住宅の仕組み

改正住宅セーフティネット法の施行から10月25日で1年がたった。家主と入居者双方への制度の認知が進まず、登録は10月30日時点で3846戸にとどまる。国は制度を周知させるため、10月29日から、全国10会場で説明会を始めた。一部の不動産会社が自社物件を登録するケースも出てきている。

高齢者や子育て世帯、低所得者といった住宅確保要配慮者の住居確保を目的として改正した住宅セーフティネット法は、手続きの煩雑さや、制度そのものの周知が進まず、登録数が伸びない。

当初は初年度で2万5000戸を目標に掲げていたが10月30日時点で3846戸と、15%程度の達成率だ。

目標にはほど遠い中、国は家主や不動産会社、地方公共団体ら向けに同制度の説明会を企画。第1回目として開催した東京の会場には約130人が集まった。参加者からは「定期借家契約はできるのか」「問題を起こした際に入居者を退去させられるのか」などの質問が矢継ぎ早に上がり関心の高さが垣間見えた。

だが、同制度の認知は、1年を経て低い。不動産情報サイト事業者連絡協議会(東京都千代田区)が公表したデータでは、部屋探しユーザーのうち、セーフティネット住宅制度について理解しているのは9%にとどまった。

同協議会の会員にはアットホーム(東京都大田区)やLIFULL(ライフル‥東京都千代田区)、リクルート住まいカンパニー(東京都港区)などの大手ポータル運営会社が名を連ねるが、会員企業の賃貸ポータルで住宅確保要配慮者に入居を絞り込んだ専用住宅の登録はほぼないという。

その理由は、入居条件が場合によっては30項目に及び、各社のサイトの要項に入りきらないといったシステム上の理由が1つ。2つ目は、入居条件を詳細に入れることによって、そこに住む入居者への差別につながりかねないリスクがある点。社会的な意義を認めつつも掲載が進んでいないのが現状だ。

一方、家主は、制度について知っていても登録に足踏みしている。家主が直接物件情報を掲載するポータルサイト『ウチコミ!』を運営するアルティメット総研(東京都新宿区)が家主向けに行ったアンケートでは、111人から回答を得た。同制度について知っている家主は66.7%。登録してもよいという家主は「場合による」「よいと思う」で合わせて9割に上った。その一方で、登録していない理由として「仕組みがよく分からない」が56.6%と過半数を占めた。

一部の不動産会社では実験的に登録するケースが出てきている。9100戸管理するグローバルセンター(香川県高松市)は、高松市内の保有物件を1戸、専用住宅として登録した。同社は「テストケースとして生かし、今後は家主への周知を進めていければ」と話した。

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