オリンピック選手村の活用プロジェクト「HARUMI FLAG(ハルミフラッグ)」における賃貸街区が、2024年1月下旬から入居を開始する。賃貸住宅、シェアハウス、高齢者向け住宅などが集まった大型案件だ。
五輪選手村活用プロジェクト
HARUMI FLAGは、大手デベロッパーらによる、東京五輪選手村の跡地を一つのまちとして再開発する一大プロジェクトだ。総開発面積は約13万4000㎡に及ぶ。そのうち、三井不動産レジデンシャル(東京都中央区)ら10社が手がけた賃貸住宅4棟1487戸・164室の「PORT VILLAGE(ポートビレッジ)」は、一般賃貸住宅1258戸、高齢者向け住宅158戸・50室、シェアハウス71戸・114室、保育施設からなる。
若者、子育て世代、高齢者といった多世代の多様な人々が集まる場としての役割を担う。一般賃貸の申込受付を9月に開始し、1カ月弱で100件超の申し込みが入った。
350㎡の大浴場付き
物件の特徴は、充実した共用設備。A・B・C・Dの4棟に分かれるが、C棟1階部分には88㎡のイベントスペース、約90㎡のワークスペースなどを作った。地下1階にはフィットネスルーム、シアタールームを設計した。A棟には定員24人の大浴場を企画。入居者は無料で利用できる。
一般住戸部分は、1LDKが全体の約56%と最も多く、次いで2LDKが約19%。同物件からアクセスのよい東京都港区内へ通勤するDINKSやファミリー層をメインターゲットとする。33.69㎡の1LDKのモデル住戸の想定賃料は14万8000円。相場程度の設定で、最寄りの都営地下鉄大江戸線勝どき駅から徒歩15分程度という立地に対し、共用部をはじめとした物件の付加価値付けでカバーする。
一般住戸のうち2戸のみ、メゾネットのペントハウスを用意した。専有面積約160㎡の3LDK。2方向は天井高5.5㎡のガラス張りで景色を一望できる。
高齢者向けも企画
多世代が住む街区として、D棟には、高齢者向け住宅とシェアハウスが入る。高齢者向け住宅は自立して生活できるアクティブシニア向け住戸と、要介護認定を受けた高齢者用の住戸を用意した。シェアハウスは、入居者同士の交流を重視したい層を取り込む。
建物が向かい合う空間は約7000㎡の中庭になっており、入居者の交流の場としていく。
PORT VILLAGEのすぐ横の区画では中央区立の小・中学校を建築中だ。道路を挟んだ向かいには複合商業施設が24年3月にオープンする。一つのまちが動き出そうとしている。
(河内)
(2023年12月4日20面に掲載)