職人不足が顕在化する中、原状回復工事の際に工期やコストの面で悩む管理会社も多いだろう。建設資材メーカーのクレスト(東京都中央区)は、内装材を通じて潜在的なニーズの開拓に挑む。
賃貸の原状回復ニーズ捉える
慣習に限界感じる
「賃貸市場では、埋もれているちょっとした『悩み』が多くあると感じる。そういった課題を新しい商品を提供することで可視化し、解決していきたいと思い、創業した」と語るのは、クレストの岸稔社長だ。
インテリアメーカーに30年以上勤務し、取締役営業部長として営業開拓や商品開発に携わってきた岸社長。カタログに掲載する商品を販売する商慣習に次第に限界を感じるようになった。岸社長は「カタログに掲載された商品の中から選択する形だと、選択肢の幅が無意識に制限されてしまうため、顧客の潜在的なニーズに合った商品を届けられないジレンマに陥った。商品の改廃により、満足度が高くても長く使ってもらうことができないケースもあった」と話す。
厚さ2mmが特徴
隠れた需要に応える商品を開発したいと思い、2016年にクレストを創業。インテリアメーカー時代に培った経験を生かし、潜在ニーズが多いとにらんだ賃貸向けの内装材に絞った商品を開発している。主力商品の一つが、19年に発売した重ね貼りや一部分の貼り替えが可能な床材「Reco(レコ)タイル」だ。