2024年、テクノロジーは目覚ましく発展し、加速度的に社会へ浸透してきました。本連載では、昨今話題となっているテクノロジーのトレンドについて解説し、それらがどのように不動産業界へ影響していくかについて考察します。
AIの発展と変化 不動産業界の関係
最初のテーマは、昨年大きな盛り上がりを見せたAI(人工知能)です。特に「Chat(チャット)GPT」をはじめとした生成AIは世間に大きな衝撃を与えました。今回は、従来のAI(ここでは識別AIと呼びます)と、最近話題の生成AIの違いと可能性について解説します。
識別AIの基本的な役割は識別や判定です。例えば、写真データを入力して犬が写っているかどうかを判定したり、賃貸条件を入力して家賃予測をしたりする技術といえばイメージしていただきやすいかもしれません。
家賃予測は予想家賃を「生成」しているように思われるかもしれません。しかし、裏の仕組みとしては入力データの特徴に基づいて特定の予測範囲を出し、それを用いて特定の価格を出力しています。そのため、このAIは識別AIに分類されます。
生成AIの実用化 活用の方向見出す
生成AIとは、学習したデータに基づいて新しいデータを生成する技術で、例えば画像、音楽、テキスト、ビデオなどの新しいコンテンツを生成することができるAIです。冒頭で触れたChatGPTはテキスト生成AIですが、「Stable Diffusion(ステーブルディフュージョン)」といった画像生成AIや「VALL-E(ヴァルイー)」といった音声生成AIも存在します。
生成AIの不動産業界における活用としては、テキスト自動生成による顧客への自動応答が最も期待されます。これまでも自動応答AIは多く存在しましたが、特定の語句に対する定型の応答や、識別AIによる文脈判定に基づく応答など、利用範囲や内容が限定されたものでした。しかし、生成AIを用いればより柔軟で自然な応答ができる自動応答システムが実現可能になるでしょう。
また、これは不動産業界に限りませんが、電話内容をテキストに起こし、その内容を要約して記録する機能も業務に活用できそうです。将来的には、画像生成AIを利用して、手書きの間取り図から整形された間取り図を生成することもできるのではないかと考えています。
このように生成AIを実用化できれば、かなり大規模な業務効率化が可能となり、業界全体の生産性向上に期待できます。ただし、そんな明るい未来が訪れるとは思えない、という方もいるかもしれません。
実際、識別AIの時代には、不動産業界で顕著な省力化が実現されたとは言い難いです。これは、これらの技術が不動産業界で実用化されるまでに他の業界にはないある大きな課題があるためです。それは、データの収集と整理、そして業務手続きのデジタル化の問題です。
次回は、生成AIを不動産業務で実用化するに至るまでの課題について、前述の2点に焦点を当てて解説します。
イタンジ
代表取締役社長執行役員CEO
永嶋章弘
筑波大学大学院 システム情報工学研究科にて情報工学修士号を取得後、ニフティに入社。2014年、イタンジに入社し複数新規事業を立ち上げ、16年、メルカリにPdMとして転職。18年、イタンジに執行役員として再入社。23年11月、CEOに就任。
(2024年2月26日11面に掲載)




