取引適正化に向け営業を制限
液化石油(LP)ガス料金の透明化を目的とした法改正により、7月からLPガス事業者が賃貸住宅オーナーに行う営業行為に影響が出そうだ。
経済産業省は4月、「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則の一部を改正する省令」を公布。まずは7月2日に、「過大な営業行為」を制限する改正省令が施行される。
過大な営業行為とは、大きく分けて二つを指す。一つ目は、LPガスの導入契約を結ぶために行われてきた設備の無償貸与だ。これまでLPガス事業者は、賃貸住宅のオーナーに対し、エアコンやインターホンなどのLPガスとは無関係な設備を無償で貸与することで、ガスの導入契約を獲得。後日、同設備の費用を入居者からLPガス料金として回収する商習慣があったが、これを禁止する。
二つ目は、賃貸住宅のオーナーや戸建て住宅の消費者との間で、LPガス事業者の切り替えを制限するような条件付きの契約の締結を行うことだ。例えば、契約の解除に関して貸与設備の買い取りや返金の条項を設けることなどが挙げられるが、これらも禁止する。
7月2日以降、このような営業行為が発覚した場合、罰則として販売事業者登録の取り消しや、30万円以下の罰金が科される。
同じく7月2日から「LPガス料金等の情報提供」を努力義務とする省令が施行される。賃貸住宅の入居希望者に対するLPガス料金の事前提示を促すものだ。対象には、賃貸住宅のオーナーや管理会社、賃貸仲介会社も含まれる。賃貸借契約締結時に提示することが想定される。
2025年4月2日からは、消費者に提示するガス料金の明細において、利用料の内訳を明記することを定めた「三部料金制の徹底」が施行される。過大な営業行為と同様、罰則規定を設ける。
(2024年6月17日1面に掲載)