仲介・管理会社ノート 仲介編⑥ ~前編~

野村不動産函館, i&F(アイアンドエフ)

企業|2021年10月13日

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 賃貸仲介事業とその業務の現状を調査。今回は、ポータルサイトの充実やSNS活用によって反響獲得や成約の割合を高める工夫を行っているなどの4社に取材した。

野村不動産函館、20年の反響件数が昨対比150%

詳細な間取り図と45枚の写真を掲載

 年間賃貸仲介件数1450件の野村不動産函館(北海道函館市)では、ポータルサイトに掲載する物件情報を充実させることでメールや電話からの反響獲得件数が増加。2020年は19年比で150%に高まった。

 同社の売上高(非開示)の内訳は、賃貸仲介が37%、賃貸管理が24%、自社物件の賃料収入が21%、売買仲介が15%、リフォームが3%となる。

 商圏は函館市全域。仲介店舗は2店舗を構える。全従業員46人のうち、賃貸仲介部門の従業員は全13人。そのうち業務別の配置は、営業担当が8人、受付事務が2人、鍵の貸し出しや書類作成などを担う営業サポートが2人、ポータルサイトの情報更新などを行うIT担当が1人となる。

 賃貸仲介事業売り上げ(非開示)の内訳は、広告料が60%、仲介手数料が30%、付帯商品売り上げが10%を占める。一般媒介が95%、専任媒介が5%となる。

 賃貸仲介営業スタッフ1人当たりの年間の仲介件数は約240件。営業スタッフ1人当たりの月間成約件数は、同社の繁忙期となる1~4月が約60件、それ以外の時期の、5~12月が約15件だ。来店成約率は約60%。仲介で取り扱う物件は単身向けが55%、ファミリー向けが45%。平均成約単価は約14万円。仲介手数料は家賃の1カ月分だ。

 同社では、19年頃ごろから全従業員が生産性を上げるための意識改革を行ってきた。接客に関する成功事例やトップ営業担当のクロージングノウハウの共有、経営陣で行っていた経営企画会議を部門ごとに全従業員出席で行い会社全体の売り上げへの貢献意識を根付かせている。

野村不動産函館の外観写真

野村不動産函館の本社外観

 従業員から業務に対する改善点や提案が増えてきていて、特に効果が生まれたのはメールや電話などの反響件数だ。反響の割合は、メールからが67%、電話からが約23%、飛び込みが約10%占める。インターネット集客については、加盟するApaman Network(アパマンネットワーク)のポータルサイト「アパマン」のほかに「SUUMO(スーモ)」、地域特化型の物件情報サイト「ラルズマネージャー」の三つ。物件掲載数はアパマンが月約4000件で、その他サイトが月約3000件。アパマンに掲載している物件を、他サイトに流用する形で活用している。2店舗合計の出稿費用はSUUMOが月75万円、ラルズマネージャーが月26万4000円となり、2社の出稿費用にアパマンの出稿費用が含まれる。

 ポータルサイトへの掲載情報の工夫について野村辰男社長は「物件の間取り図面にストーブの設置場所を落とし込むなど、細かいが他社との差別化につながる見やすさの工夫を施している。写真の掲載枚数は1部屋最低45枚とプラスでパノラマ写真を採用。画角も社内の勉強会で見やすさを追求している」と語る。

 20年からは営業担当8人に広角カメラ機能が内蔵されているアイフォンを支給し、写真撮影に活用している。こういった取り組みにより、20年のアパマンからの反響獲得件数は19年比125%となった。

 今後は、増加した反響件数からの反響成約獲得率を高めていく。21年の来店成約数は20年比で5~10%と微増。掲載物件を集める作業や反響を獲得する工夫に割いていた時間を、接客へシフトしていく。10月中に1人スタッフを増員し、高齢者住宅の取り扱いも開始する予定だ。

野村不動産函館 野村辰男社長の写真

野村不動産函館
北海道函館市
野村辰男社長(69)

 

 

 

i&F、LINE活用で反響来店率40%

ユーザーをつかむ自動ヒアリング機能

 「ホームスナイパー」の屋号で、札幌市をメーンに年間800件の賃貸仲介を行うi&F(アイアンドエフ:北海道札幌市)は、仲介手数料無料とLINEを活用した営業提案で業績を伸ばす。仲介件数は20年の500件から1.5倍以上に増加した。

アイアンドエフの会社情報まとめ

 会社全体の年商は8400万円。内訳は賃貸仲介が97%、売買仲介が3%となっている。店舗は1拠点構えているが、路面店ではなく、主に予約客への営業提案や契約手続きの場として利用している。全社員は6人で、そのうち4人が賃貸仲介の業務に携わっている。営業マンは2人なので、1人当たりの年間仲介件数は400件となる。また、18年10月の設立から右肩上がりで成長しているため、今のところは繁忙期と閑散期による仲介件数の増減はあまりない。

 仲介手数料は無料だが、平均して家賃2カ月分ほどのADを主な収益とする。単価は1件当たり約10万円となっている。仲介物件の種別ごとの内訳は、単身向けが50%、DINKsやカップル向けが20%、ファミリー向けが30%。仲介顧客の属性は社会人70%、学生20%、法人10%だ。専任媒介は一切なく、一般媒介が100%となっている。

 ポータルサイトは利用しておらず、反響の65%を自社ホームページ、30%を紹介、残りを飛込みや法人から獲得する。反響来店率は約40%だ。来店成約率は70~80%。

LINEの画面写真

LINEのメッセージ上で自動ヒアリングを行う

 スマートフォンからアクセスした同社サイトのトップページには、仲介料手数料が無料であることを大きく掲載。そのすぐ下に配置してある「LINEでお部屋探しはこちら(相談のみも可)」というボタンを押すと、LINEが自動で起動され、入居希望の時期を選択するボタンが表示される。入居希望の時期を選ぶと、次は部屋探しの方法を選ぶボタンが登場。「来店希望」を選んだ場合、来店希望日を入力すると、スタッフからの返信待ちの状態になる。 長田圭一郎営業部長は「LINE登録後にユーザーがすぐアクションを起こせるようにすることが重要。さらに自動で簡単なヒアリングもできるので、スタッフの手間を省くこともできる。10月にはLINEを一括管理できる『L(エル)ステップ』を導入し、さらなる業務効率化を図っている」と話す。

(10月11日6面に掲載)

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