不動産売買仲介において煩雑に飛び交う情報を、一元的に管理できるクラウドツール「Facilo(ファシロ)」。展開するのは、2021年10月に設立したFacilo(東京都港区)だ。「中古住宅の流通促進に向けて役に立ちたい」と考える市川紘CEOは、業務効率と顧客体験の向上を軸にサービス開発を進める。
売買仲介、システムで円滑化
顧客体験の向上にまい進
「さみだれ式になってしまい恐縮ですが」。不動産購入を検討する顧客の元には、冒頭のフレーズとともに物件情報が不定期に届く。不動産会社が顧客のために行う情報提供だが、顧客にとっては比較検討の手間が増し、購入に対する熱が冷めていくというケースは少なくないようだ。このような売り手と買い手のコミュニケーションを円滑にし、不動産購入における顧客体験を向上させるために開発したのがFaciloだ。
提案物件を一覧化 比較検討しやすく
23年2月にリリースしたFaciloの特徴は大きく分けて三つある。一つ目は、物件提案におけるサポート機能だ。新着物件の把握がしやすい「ハイライト機能」や、価格改定がされた物件が見つけやすくなる「ポップアップ機能」などを搭載。物件検索条件の読み込みもでき、条件を都度手入力する手間を省く。
AI(人工知能)による自動での「帯替え機能」も業務の効率化を助ける。販売図面上に自社情報を掲載する帯の面積は、図面によってまちまちだ。AIが物件情報と帯の境界線を認識し、自動で帯部分に自社の情報を掲載する。帯替えしたデータはクラウド上で共有できる。顧客への連絡も容易なため、物件提案業務を簡単に手早く行うことが可能だ。