工事会社の倒産に備える
マンション修繕事業のサポートを行う一般社団法人マンションあんしんセンター(東京都渋谷区)は、日新火災海上保険(東京都千代田区)と共同で開発した「分譲マンション大規模修繕工事向け履行保証保険」を提供する。マンションの大規模修繕工事向けに特化した商品で、これまでに97棟の契約実績がある。
工事の履行保証保険とは、工事会社が倒産などで工事を完了できなくなった場合に、発注者を金銭的に保護する保険のこと。工事の未完成や遅延などのリスクに対して、保険会社が補償を行い、発注者の損失を軽減する。
同保険の契約者は修繕工事を請け負う工事会社で、被保険者は大規模修繕工事の発注者である管理組合やオーナーとなる。大規模修繕工事を発注するタイミングで、同保険も契約する流れだ。
対象となる工事金額の制限はない。工期が6カ月以内の場合、保険料は工事請負金額5000万円で約30万円、1億円で約60万円で、保険期間は工事期間に応じて設定される。万が一の際に被保険者に支払われる金額は工事請負金額の10%で、使用用途の制限はない。ただし、支払われる保険金の上限は1000万円まで。
また、工事会社が倒産したときには、日新火災海上保険による保険金の支払いだけではなく、同センターが工事再開・完成まで支援を行う。
同保険は日新火災海上保険が事前に決算報告書などを確認し、工事会社の審査を行う。
マンションあんしんセンターの渋谷貴博代表理事は、建設業の倒産リスクについて、「人手不足や資材高騰、働き方改革の影響など、社会問題の影響を受けやすい業界だ。取引事業者との関係が濃く、経営状況が不安定になりやすい特徴がある」と説明する。2023年4月の保険提供開始以来、管理会社やオーナーから約100件の相談があり、多くが成約に至っている。
(2024年9月30日16面に掲載)