脱炭素化の流れが世界的に加速する中、集合住宅向けに太陽光サービスを展開するのが東京ガス(東京都港区)グループのヒナタオエナジー(同)だ。初期費用無料で屋上にも柔軟に設置可能な太陽光パネルを提供する。
施工のしやすさも強み
ヒナタオエナジーは、2020年10月より太陽光エネルギーサービス「ヒナタオソーラー」の提供を開始。同サービスの特徴が建物の壁面にも設置事例がある厚さ2mmのパネルだ。集合住宅の屋上の防水層などに設置して使用する。施工の際は穴開けが不要で一般的なパネルと比較しても1㎡あたり約3kgと軽いため、高さや重量制限から導入が難しかった屋根にも設置可能。
標準条件では、初期費用は無料で通常5日程度の施工で済む。太陽光で発電した電気は共用部で使用し、月々の使用料を徴収する仕組み。使用料のみの支払いとなるため、電気料金のトータルコストは契約前と同等になる。ヒナタオソーラーのみの契約も可能で、不足分の電気は従来の電力会社から調達できる。保守・点検はヒナタオエナジーが行うことから、メンテナンスの負担が発生しない。
防災設備としても利用可
停電などの非常時にも、エレベーター脇やエントランスなどに設置する停電用コンセントから太陽光発電した電気を使用することが可能。蓄電池を合わせたセットプランも提供しているため、防災設備にもなる。標準契約期間は20年で、1月時点の標準サービス価格は1キロワット時あたり32.45円(税込み)となり、現地調査を踏まえて物件ごとに決定する。設置可能な物件の目安として、屋根面積が200㎡程度必要になる。22年中には、数十件程度がサービスを開始する見込みだ。
荒井登己子社長は「地球環境が大きく変化する中でいま環境に対してできる具体的な取り組みの一つが太陽光発電だ。ヒナタオソーラーを通じて環境対策の最初の一歩を手助けしていきたい。その一環として、提供エリアの拡大も検討している」と語る。
ヒナタオエナジー
東京都港区
荒井登己子社長(39)
(2022年1月3・10日19面に掲載)