対象の7割強 値上げに合意
1万4000戸超を管理するエステムプランニング(大阪市)は、管理物件の賃料アップを進める。これまで3500戸超の管理物件で5%程度の賃料アップ実績がある。
同社は、分譲マンションデベロッパーの日商エステムグループで賃貸管理を手がける。2024年6月期の単体売上高は152億円、経常利益は9億円。
管理物件のエリアは大阪市を中心に近畿圏が7割、そのほか東京近郊でも管理を行う。管理物件のほとんどがグループの日商エステム(同)と東京日商エステム(東京都港区)が分譲した投資用区分マンションで、すべてマスターリースだ。
「大阪・関西万博が控えるなど、大阪は将来有望な地域だ。しかし、不動産価格は東京に遠く及ばない。神奈川県横浜市の築15年ほどのマンションと、大阪市の一等地の新築マンションの価格が同等といった感覚だ。日本第二の都市として、地域の価値を向上しなくてはならない」賃料アッププロジェクトの旗振り役を担う森智寛社長はこう語る。
23年9月、築5年以上の物件に1年以上入居している入居者を対象に「3カ月後から賃料を5%値上げする」旨の手紙を一斉に送付。更新時期などは関係なく、対象者に合意書と返信用封筒を同封した。手紙の送付のみで合意書を受領したのは6割強。交渉を含め、合意を得たのは71.2%、拒否が17%。未回答が11.8%だ。
同社は入居者賃料の95%をオーナーに支払っており、値上げの賃料が振り込まれた月から、オーナーの手取りも増える。「賃料が上がれば、売却時の値上がりにもなる。今後も、更新のタイミングなどで継続して賃料アップの案内を送付し、不動産価値の向上に寄与したい」(森社長)
エステムプランニング
大阪市
森智寛社長(49)
(2024年11月25日2面に掲載)