住民の要望かなえる施策
学校への寄贈通し働きがいに
クライフとエヌアセットは、それぞれ地域密着型の不動産会社として賃貸管理を行いながら、商圏の不動産価値向上や、住人らの満足度向上につながる施策を強化する。
クライフは2012年に設立。京都市西京区の阪急電鉄京都線桂駅周辺地域をメイン商圏とし、2833戸を管理する。唐津社長はまちの価値を上げるための仕事について「地域の人を笑顔にすること」と定義。実現に向けて、地域住民らが抱える課題や欲しいものを、自らの足で聞きに行く取り組みを行っている。
その一環として、京都市内にある小学校や中学校への訪問を定期的に行う。校長や教頭との面談を年に1回ほど設ける。面談の前には生徒らに対し必要な備品がないか、困っていることがないかをアンケートを通してヒアリングする。
これまでは、図書や3Dプリンターを寄贈してきた。図書の寄贈は14年ごろから続けている。3Dプリンターは「中学校のイメージキャラクターをつくりたい」という要望があったため、贈呈した。そのほか、職業体験の場として小学生の受け入れや、スポーツイベントの開催も行った。
寄贈した学校に、管理を受託するオーナーの親族が通学している場合もあり「あの本、クライフが寄贈してくれたんだね」と声をかけてもらうこともある。
唐津社長は「大小問わず地域の課題を解決し、相手の喜ぶ顔を見れば、社員のモチベーションが上がる。住民の笑顔を見ることがうれしいと思えれば、働きがいにつながり、仕事の原動力になる。そう思って続けた結果、年数を経て社風として定着してきた」と話す。
地域の課題に直接コミットし、地場不動産会社として根付いていく。「桂駅周辺エリアの不動産会社といえばクライフ」という認識が広がれば、オーナーが物件をどの管理会社に任せようか悩んだときに、管理手数料による価格競争をせずとも管理を獲得するきっかけにもなる。
「当社がまちづくりをするうえでキーワードとしているのは『きょういく』と『きょうよう』だ。きょういくは『今日行くところ』、きょうようは『今日用事がある』という意味。二つの要素が、そのエリアに住む理由になると思う。学校に限らず、地域住民の要望を聞いて回り、今日行くところ、今日の用事をつくっていきたい」(唐津社長)
クライフ
京都市
唐津亮社長(44)
(2024年12月2日9面に掲載)