売買仲介事業を本格開始してまだ1年ほどだが、社長1人で年間約50件の売却の媒介獲得に成功したのが永田不動産(兵庫県神戸市)だ。同社では媒介獲得のためにVRを活用するなどして差別化を図っている。
VRで売り物件の生活感なくす
契約急がず長期追客、営業の自動化も
23年に事業開始
同社は神戸市内をメインの商圏として、不動産の売買仲介業を行っている。設立は2022年。翌年1月から本格的に営業を開始した。従業員は雇わず永田繁人社長が個人エージェントとして活動している。
同社で取り扱うのは中古の戸建て・マンションが中心。平均成約単価は1500〜2000万円で、仲介手数料は1件につき50〜100万円。創業して間もないが、1年と少しの期間で売却の累計媒介契約は52件、うち仲介件数は20件強。ほとんどが売却案件の仲介。専任が9割だ。両手取引の比率は6〜7割程度。現在も20件ほどの物件を預かる。同期間での手数料売り上げは約1800万円だ。「この前の月は9件の媒介をいただけ、少しずつ実績が増えてきました」と永田社長。
戦略は明確で、売却依頼の獲得をメインとすることだ。主に一括査定サイト経由で案件を獲得。リビンマッチ、HOME4U、HOME,Sなどを利用。現在は3つのサイトに登録し、月15件ほどの送客を得る。そこから約2割が専任媒介契約に。
デジタルをフル活用
媒介獲得のための差別化策は大きく3つある。1つ目は、VRツールの活用だ。同社では物件内を360度ぐるりと見渡せるVRサービス「スペースリー」を利用。売却を預かったら物件のVRを作成し、販売活動に活用する。
最も効果的な機能が家具消し。売主の生活感が出てしまう家具やインテリアなどをデジタル技術を使って削除してまっさらな空間にすることが可能。さらに、その空間に新たな家具を置き、リフォーム後のイメージまで演出することが可能だ。このような提案を売主に行うことで媒介契約を獲得している。「1件1件このようなVRを作る会社はそこまでありませんので」と永田社長。
▼売却物件をVR化、既存の家具を消し新たなバーチャル家具をレイアウトした例
スペースリー(東京都渋谷区)のサービスを利用し、売却物件を魅力的に演出