最大震度7を観測した能登半島地震の発生から、1年が経過した。当時、石川県内の賃貸住宅では電気給湯器の転倒による漏水や地盤の液状化、物件外壁にひびが入るといった被害が見られた。また、地場の不動産会社は被災者の入居受け入れに奔走していた。現地の復旧状況はどうか。不動産会社の対応状況の今を、取材した。
外壁破損、昨秋まで対応も
住宅被害15万棟弱
能登半島地震は、住宅にも大きな被害をもたらした。24年1月1日、能登地域では最大震度7の揺れが発生。内閣府が発表した被害状況によると、24年12月までの死者は489人。住家の被害は一部破損から全壊までを含めて14万9724棟に及んだ。
賃貸住宅で見られた被害について、金沢市に拠点を置く管理会社の多くは、屋上に設置した電気給湯器の転倒による階下への漏水を挙げた。
地震発生直後から、被災者の住宅確保を目的に、民間の賃貸住宅を賃貸型応急住宅(みなし仮設住宅)として供給する制度が敷かれた。賃貸住宅を仲介・管理する不動産会社は、能登地域から金沢市などに避難してくる被災者の受け入れを開始した。
みなし仮設住宅とは、市・町が家賃と共益費、初期費用を負担し、入居日から最大2年間の契約で被災者に住宅を提供するもの。入居に関わる契約は、市・町と被災者、貸主間で行うが、実態としては、被災者と貸主が契約を交わした後に、市・町を入れた3者間で契約を交わし直す作業が発生していた。電子契約は非対応だったため、繁忙期中の同契約対応に疲弊する不動産会社の声が上がっていた。