円安の状況下でも、海外不動産投資への日本人投資家の需要は底堅いようだ。背景には日本経済の減退予測から、資産を円以外の通貨で組み変える需要がある。事業を行う不動産会社の事例から、各エリアの傾向をまとめる。
東南ア、高級住宅が安定傾向
アメリカ・テキサス州
投資目的、ドル貯蓄に変化
アメリカで戸建て事業を行うオープンハウス(東京都渋谷区)は、取扱高が堅調に伸びており投資ニーズは年々高まっているとみる。
同社の木村憲一郎取締役は「米国不動産への投資目的は、ここ10年程度で大きく変化した。以前は節税効果を狙った投資が中心だったが、現在は外貨貯蓄としての需要がほとんどだ」と話す。
同社グループの米国不動産事業を含むその他の事業セグメントの売上高は、2024年9月期で1059億円。260億円だった20年と比べ4倍の伸びとなっている。取引件数は24年9月期に1106棟、20年比で約2倍と、事業成長は著しい。
投資家からの24年の年間反響件数は、20年比で約3倍と手応えを感じている。「円安はさらに進行するとみている投資家は多い。これ以上下落する前に資産をドルに組み替えたいというニーズが高い。経済成長に裏付けされた賃料・不動産価格の上昇など、長期保有のメリットも大きい」(木村取締役)
投資家らの長期的な円安の将来予測だけでなく、米国の不動産価格の上昇も投資商品としての魅力が高い要因だと同社ではみている。実際に同社が主要な商圏とするテキサス州ダラスにおいて取り扱う戸建て物件は、200㎡程度の広さで販売額の中央値が5000万〜6000万円程度。20年比で、ドルベースで1.5倍ほど取引単価が上昇した。