歴史的な円安状況が続く中、日本人による海外不動産投資の案件を獲得し、事業を伸ばす不動産事業者が出てきている。外貨取得やリスク分散のニーズにより、依然として需要は高いという声が聞こえる。一方で、中国の経済減退の影響による投資控えで、市場の需給バランスが崩れている国があることも見えてきた。
外貨取得や資産分散後押し
国別の差異、拡大
日本人投資家が海外の不動産に投資するアウトバウンド不動産投資。事業者4社は「円安による需要減退はない」と口をそろえる。将来的なさらなる円安の深刻化をにらみ、資産の組み換えのニーズが目立つという。
「米国での不動産投資は、基軸通貨のドル建てで資産を保有できる点が投資家への訴求要素になっている」と、オープンハウス(東京都渋谷区)の木村憲一郎取締役は話す。税制改正により、2022年の確定申告から、海外の不動産投資によって発生した減価償却が不可能となった。だがその後は、米国不動産投資の需要を支えていた節税目的から、将来の円安に備えた資産の組み換えに投資家の目線がシフトしている。
東南アジア地域では供給過多となっている状況もある。都心部のコンパクト物件の供給が過剰となった影響から、現在は新築供給戸数が減少に転じている。