用途別で運営の質強化
スペースシェア事業を展開するスペースマーケット(東京都渋谷区)は、レンタルスペースの運営会社3社の完全子会社化を発表した。2月7日に譲渡契約を締結し、4月1日付で子会社化する。3社をM&A(合併・買収)することにより、運営における質の向上を図る。
M&Aした3社は、クルトン(同)、エミーナ(大阪市)、システリア(同)。クルトンは、ワークスペースの企画・運営を強みとし、鉄道沿線を中心に全国900カ所超を運営してきた。同社の取得価額は3億60万円。
一方、エミーナとシステリアは、SMILE+(スマイルプラス)のブランドで関西を中心にパーティースペースの企画・運営を行ってきた。2社合計で38カ所を運営する。取得価額は共に非開示。
スペースマーケットの重松大輔社長は「レンタルスペース市場への参入企業が増加し、立地や接客・運営、清掃の質など、差別化する要素が多様化してきている。物件の仕入れや内装、清掃を含む運営力に強みを持つ3社のグループ化で差別化を図りつつ、業界全体の底上げにつなげたい」と話す。
具体的には、駅近ニーズの高いワークスペース・ブースでは、鉄道会社との連携に強みを持つクルトンが、駅中などの好立地スペースの仕入れ・運営を手がける。エミーナとシステリアは、パーティー向けスペースを中心に関西圏での展開を強化する。
加えて、2021年からスペースマーケットグループに参画しているスペースモール(東京都渋谷区)が、得意とする「ボードゲーム」「シアタールーム」といったコンセプト型スペースを企画・運営。これにより新たな利用者ニーズにも対応していく。
スペースマーケットが運営する、レンタルスペースの所有者と利用者をマッチングするプラットフォーム「スペースマーケット」への掲載件数は、25年2月時点で3万7000件以上。遊休不動産・スペースの所有者からの掲載依頼や、同社グループによる企画・仕入れにより直近1年間で7000件超が増加した。
(2025年3月3日2面に掲載)