都心部、仲介できる空室不足

S‐FIT,アーバン企画開発,中央ビル管理

管理・仲介業|2026年03月21日

 1都3県における賃貸住宅の空室不足が、2026年の繁忙期に顕著に表れている。背景には、建築費の高騰による供給過少や家賃上昇による引っ越し控えがある。

賃料高騰で需給バランス崩れる

 「仲介できる部屋がない」という声は、全国賃貸住宅新聞の独自調査「2026繁忙期速報」でも明らかになっている。

 1月〜2月上旬時点の成約件数の動向を聞いた同調査では、仲介件数が前回比横ばいという結果に対し、「仕入れ物件の減少」という理由が前回調査比較で伸びていた。

グラフ1

 具体的に見ていくと、19件の回答のうち約6割が1都3県に本社を置く仲介会社だった。

ワンルーム不足 条約に問題提起

 「25年の東京都への流入超過人口は、純増で6万5000人。一方で、1人暮らし世帯の20代の転入超過に注目すると8万人に迫る。これに対し、ワンルームの供給数は同年約1万戸。明らかな供給不足だ。この状態を引き起こしている要因の一つに、ワンルーム条例があるのではないか」と話すのは、S‐FIT(東京都港区)の紫原友規社長だ。同社は東京都を中心に年間2万5000件超の賃貸仲介を行う。26年の繁忙期において、特に単身者向けの物件不足を痛感しているという。

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 同社が今繁忙期中に社内でとったアンケートによると、「直近の賃貸物件数は足りているか」という質問に対し、「不足している」「やや不足している」の回答が96%を占めた。このうち「特に不足していると感じる物件タイプはどれか」については、「ワンルーム/1K」の回答が78%に上った。この結果に対し紫原社長は「ワンルーム条例は時代に合っていない。悪手といえる」と語気を強める。

グラフ2

 ワンルーム条例とは、2000年代初頭から東京都を中心に各区や政令指定都市で順次定められた、賃貸・分譲マンションの建築制限だ。例えば、専有部の面積は25㎡以上とし、一定割合のファミリー向け住戸の設置義務を定めている。紫原社長は「建築費の高騰が続く中、1戸あたり25㎡以上を確保したワンルームの供給は、収益性確保の観点から難しくなっている」と話した。供給を促すためにも専有面積の緩和、条例の廃止の必要性を強く訴えた。

流通物件3割減 住み替え需要鈍る

 神奈川県を中心に、年間2400件超の賃貸仲介を行うアーバン企画開発(神奈川県川崎市)も、今繁忙期の空室不足を実感しているという。三戸部正治社長は「家賃の高騰が住み替えを抑制し、結果的に市場に流通する物件が減っている」と話す。実際に同社の管理物件において「市場に流通させる物件数が前年比で約30%減少した」と語る。空室不足については、25年の繁忙期から始まっていたというが「当時は流通物件が前年比10%程度の減少で、さほど気にしていないレベルだった。26年はこれが顕著に表れている」と振り返る。

 要因の一つは、家賃高騰による引っ越し控えにあると指摘する。特に東急電鉄東横沿線エリアでは、ファミリー向け物件で最大3万円程度の家賃上昇が見られ、既存入居者が住み続ける選択をし、解約件数が減少している。住み替え先の家賃が契約中の物件より高くなる点と、それに伴い引っ越しに関わる初期費用も上昇するためだ。

 建築費の高騰による新築供給の減少も、要因に挙げた。ここに1都3県への人口流入が続く。また分譲住宅の価格高騰により、持ち家を検討していた層が賃貸に流入していることも空室不足のサイクルを深刻化させているとした。

空室率減少傾向 埼玉・家族向け不足

 埼玉県でも空室不足が目立つ。ハウスメーカーのポラスグループで、賃貸住宅の管理・仲介を行う中央ビル管理(埼玉県越谷市) は、約2万5000戸の管理物件の空室率が減少していると話す。営業推進課の赤嶺達己課長は「26年1月末時点の空室率は3.85%。25年同月比で0.45ポイント減少、24年同月比では0.71ポイントの減少となった」と語る。

 同社は自社付けを含め、年間3600件超の賃貸仲介を行う。今繁忙期の賃貸仲介市場について、赤嶺課長は「複数の要因が重なり、需要と供給のミスマッチが広がっている」と話す。

 昨今の建築費高騰による新築供給不足に加え、引っ越し・生活コストの上昇により転居を控える人が増加傾向にある。

 1都3県のうち、比較的家賃を抑制できる郊外エリアのニーズも高まっている。埼玉県や千葉県、東京都の城東エリアに流入する傾向が見られ、埼玉県をメイン商圏とする同社は、このニーズにより管理物件の空室が不足しているとみる。

 赤嶺課長は「間取り別のニーズの差も明らかになっている」とも指摘する。2LDK以上のファミリー向け物件の供給が不足気味である一方、築古の単身者向け物件は在庫が滞っている状態だ。空室不足の状況に、管理戸数の増加による自社付け可能な物件の確保に取り組む姿勢をみせる会社もある。この機会に、在庫化していた物件のリフォーム提案を進め、市場流通を促すことにも取り組む。

(齋藤)
(2026年3月23日1面に掲載)

おすすめ記事▶『仲介件数「横ばい」で折り返し【2026繁忙期速報】』

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