年間1136件の賃貸仲介を行う部屋店(広島市)は、あえて店舗数や従業員数を削減。顧客ターゲットを成約単価の高い法人へ切り替えた。規模の拡大を追わずに、利益を出せる経営体質に変えた。店舗数が半減したことで、仲介件数が減少。賃貸仲介事業の売り上げは約5分の1になったが、結果として手残りが増加した。少数精鋭の社員で効率の良い経営が行えている。
効率重視で反響成約率7割
事業拡大で赤字 経営方針を転換
部屋店の仲介店舗数を、ピーク時の2分の1にまで縮小。より生産性の高い賃貸仲介の事業形態を目指す。
2024年度の売り上げは3億4381万円。そのうち、60%が賃貸管理事業、30%が賃貸仲介事業によるものだ。残り10%はその他。商圏は広島市。
02年の創業以降、ほぼ毎年1〜3店舗増やし、12年には市内に12店舗を構えていた。賃貸仲介件数は6000〜7000件にまで拡大。従業員は80人弱、賃貸仲介事業のみで約5億円を売り上げた。事業は拡大していたが、12年は赤字を出した。
店舗を増やしたことで売り上げは増加していたものの、店舗の賃料や社員の給与、人材育成などで最終的に利益はマイナスになった。松田弘会長は「会社の拡大に対して社員教育が追い付かず、質が高い仕事ができていなかったという問題もあった」と当時を振り返る。
いったんは社用車をレンタカーに変更するなどの固定費および、広告宣伝費・役員報酬の削減で対策。これにより、翌13年には赤字から黒字へと経営を改善した。
しかし、抜本的な改革が必要と考え、経営方針の転換と店舗整理へとかじを切った。
22年までに5店舗にまで縮小。新卒採用を停止し、中途採用も事務員のみとした。入社後の資格要件などのハードルを上げ、質の高いスタッフのみで運営する方針へ変更した。
7割が法人仲介 店舗接客不要に
仲介事業は繁忙期と閑散期とで月々の売り上げの差が大きい。そのため、人件費の削減に一番の効果があると考え、スタッフとそれに伴う店舗の整理を行った。
店舗は広島市の中心部である中区と西区、東区の5店舗を残した。24年からは日本リージャス(東京都新宿区)が展開するレンタルオフィス「リージャス」を案内所として活用している。
案内所として利用するリージャスのラウンジ
部屋店が実際に借りているリージャスのオフィス